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会社員の人は年末調整の申告を終え、もうすぐ還付される時期。正しく納税しているはずの会社員だが、実は、税金を払いすぎている人が多い。特定の用途にお金を使ったとき、申告すれば税金を安く抑えられる控除申告という制度がある。

 

なかでも多くの人が該当するのが医療費控除。1年間の医療費が10万円(年間所得が200万円未満の人は所得の5%)を超えた場合、超えた分が所得控除される。

 

とはいえ入院でもしない限り、病院代に年間10万円も払う人は少ないだろう。だが、医療費控除の対象には、市販薬の購入費や病院に通うための交通費なども含まれる。さらに、あまり知られていない「これも控除対象なの!?」と驚くものも。そんな、知らないと損をする医療費控除の対象を経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれた。

 

■家族みんなの領収書を集めてまとめて申告

 

【歯科のインプラント治療】

 

歯科治療のなかにはインプラント治療のように、保険適用外の自費治療(10割負担)でも、医療費控除の対象となるものがあります。自費診療だと高額療養費制度が使えず、大きな出費になりますから、控除申告は忘れずに行いましょう

 

また、インプラントなどの高額治療では、歯科ローンを利用する方も多いと思います。歯科ローンを年内に契約すると、ローンの返済は年明けからでも、契約の全額を今年分として申告できます。

 

契約が年明けなら、’20年分の医療費として’21年に確定申告を。ほかの医療費や薬代の領収書を集めるきっかけにするのも一手です。

 

【子どもの歯列矯正】

 

歯科治療では、見た目の改善を目的にした歯列矯正やホワイトニングなどは控除の対象外です。ただし、子どもの歯列矯正は、歯やあごの成長のために必要ですから、控除対象に含まれます。

 

【セルフメディケーション税制】

 

ふだん病院に行く機会が少なく、「医療費に10万円も払わない」という方もいるでしょう。そこで、特定の市販薬を対象とした「セルフメディケーション税制」が、’17年から始まりました。

 

控除の対象は、「スイッチOTC医薬品」です。パッケージにセルフメディケーションのシールがあるものを、年1万2,000円を超えて購入した方が、8万8,000円まで控除を受けられます。

 

セルフメディケーション税制は、10万円超の医療費控除と、どちらかしか受けられません。どちらが有利か迷う場合は、確定申告の際、税理士に相談してください。

 

【還付申告は5年以内】

 

確定申告は、来年2月17日から3月16日までですが、会社員などの還付申告は、期間に関係なく5年以内ならOK。領収書などがあれば、さかのぼって申告できます。

 

また、医療費は家族で合算できます。同居かどうかは関係なく、離れて暮らしていても仕送りをしている親や下宿している子どもも合算できます。みんなの領収書を集めて、まとめて申告しましょう。

 

消費税も上がった今、税金を余分に払っている場合ではありません。ほかにも“うまい話”のウソを『騙されてませんか』(新潮新書)にまとめましたので、参考にしてください。

 

「女性自身」2020年1月1日・7日・14日号 掲載

経済ジャーナリスト

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