【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第10回>
TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。
【今回の相談内容】
12歳年下の妻が、ときどき高校のときの同級生(元彼)と会っているという話を、妻の友人から聞きました。私たち夫婦は共働きで、お互い残業や会食などが多く、話を聞くまでまったく気づきませんでした。仕事終わりにあとをつけるわけにもいかず、妻のスマホを見るわけにもいかず、悶々としています(40歳・会社員・男性)
【回答】
奥さまの浮気を懸念していらっしゃる、ということでしょうか。ご親切にもこんないらぬ情報をあなたに耳打ちしてくださった妻のご友人(って、こんなことを夫の耳にわざわざ入れてくる人って、すくなくとも奥さんの“友人”ではないですよね。単なる知り合いかな)に話を聞くまでまったくお気づきではなかったのに、聞いたとたんに疑いが止まらなくなっちゃったというご状況ですね。
悶々とするほど気になっていらっしゃるのなら、「あとをつける」とか「スマホを見る」とかおっしゃってないで、奥さまに直接「どうなっているの?」とお聞きになったらいかがでしょう。そんなこと聞いたら話が大きくなって「離婚」とかに発展してしまいそうなご心配がありますか? だから聞けない? でも、どんなに日々悶々とされていても真実は見つかりませんし、これからの人生も奥さまと一緒に歩いていきたいと思っていらっしゃるなら、尾行や覗き見で探るのは禁じ手です。まずは、奥さまと腹を割って話されることをおすすめします。
さて、奥さまと話をするときのコツをひとつ。
人間とは不器用なもので、人と話すときに第一感情が先に出てしまうのです。たとえば、「なんで元彼なんかと会ってるんだよ!(怒・疑)」。これが第一感情ですね。でも、その下には「僕への愛が揺らいでいるのかも…(不安・悲)」という第二感情が眠っています。この眠っている第二感情を、素直に前面に出して話をすること。それが、奥さまにあなたのお気持ちをうまく伝えるコツです。
私も幾度となく手痛い失敗をしてまいりました。その結果、今は、「“裏切られた”と自己防衛するより、何度でもすりきれるまで信じきる。そういうものになることが今生のカルマ(=課題)」だと気付き、日々精進しております。奥さまとの話し合いがうまくいって「なあんだ、悶々としてソンした!」って笑える日本晴れがくることを心からお祈りしております。
【プロフィール】
玉置妙憂(たまおきみょうゆう)
看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』火曜のコメンテーターを務める。