新型コロナウイルスから医療従事者を護る医療用マスクや防護服。しかし、これらの医療物資の不足が“院内クラスター”を招く要因になっていることが指摘されている。都内の感染症指定病院に勤務する内科医はこう話す。
「マスクやガウンが本当に足りません。とくにマスクは、数こそありますが、職員一人ひとりにフィットするものでなければ感染を防げません。ですから、患者と接する際には使えないものばかり。東京都から補充はありますが、個人からいただいた寄付などでなんとか維持している状況です」
東京都江戸川区のしんでん耳鼻咽喉科医院・田部浩生院長も言う。
「区内2カ所の感染症指定病院はコロナ患者向け病床は満床です。さらに1日で計30~40人が検査に訪れ、うち20人がすでに陽性となり、ほぼ医療崩壊状態なのです。医療用マスクやアルコール消毒液も品薄で、感染予防のガウンももうありませんから、雨ガッパで代用せざるをえないとのことです」
全国17万7千人の看護師や介護職員らでつくる日本医療労働組合連合会・副委員長の三浦宜子さんのもとには医療従事者からの切実な声が続々と届いている。
「多くの医療施設でマスクが決定的に不足しています。1週間に1枚と指示されている病院や、2日に1枚の使用で6月に在庫が尽きてしまう病院もあります」
感染の可能性がある患者が一般外来にくるケースもあり、限られた医療物資で感染予防をしているのが実情だというのは、大学病院の感染症専門医だ。
「医療用マスク、アイガード(ゴーグル)、PPE(個人防護具)、ガウンなど医療物資の不足は深刻です。うちの病院では、医療物資を調達するためだけに力を注がざるをえないメンバーがいます。それでも綱渡り状態でなんとかやりくりしている状態。医療物資の不足により、手術や検査などを減らす事態も。内視鏡検査をする際に不可欠なマスクやガウンを感染対策にまわさなければいけないからです」
「女性自身」2020年4月28日号 掲載