「とにかく、家族にうつさないか不安。同僚には不安が高まって勤務中に泣き出す人もいる」「家族への感染が怖いので病院を辞めたい」「責任感だけで頑張っているが体はくたくた」。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県医療福祉労働組合連合会(県医労連)は7日から15日にかけ県内9カ所の医療機関、介護・福祉施設に聞き取り調査を実施した。衛生備品が不足し、多忙の中で緊張とストレス、感染への不安を抱える医療従事者らの切実な状況がうかがえる。
聞き取り調査では、マスクや消毒薬など衛生備品の不足、現場任せの対策や院内感染を想定した準備が不十分などの指摘があった。特に医療機関では多忙や家族への感染不安など、精神的な負担を挙げる人が多かった。
家族に対する感染不安では「コロナ患者の受け持ちになったら、家に帰らずホテルに宿泊したい。ホテル代などの負担をしてほしい」など宿泊施設の確保や食料支援を求める声があった。新型コロナウイルス感染症患者の対応にあたる人には「危険手当が必要だ」といった声もあった。
「会議など通常の患者対応以外の業務が増えている」「家で子どもの世話ができないくらい疲労」など、負担が増大している実態から一時的な増員を求める声もあった。
また、「家族に『コロナ関連の仕事をしている人はいるか』と問うアンケートがあった」との声もあり、「多忙な状況の中で差別的な対応をされるととても悲しく、辞めたくなる」と医療従事者が差別や偏見に苦しむ現状も浮き彫りとなった。
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