新型コロナウイルスにより、終わりの見えない不安感が漂い続けています。そんななかで4月期ドラマが存在薄めにスタートし始めていますが、18日(土)の夜は“あるドラマ”をめぐってネット上がザワザワしていました。
それは、浜崎あゆみさん(41)の自伝小説をオリジナルドラマ化させた『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日)。放送スタートと同時に、アラフォー世代の心を鷲掴みにしているのです。
筆者はサカナクションのライブ配信をYouTubeで楽しく視聴していたのですが(こっちも良かった!)、あまりの盛り上がりぶりに仰天。翌日、追っかけ視聴しました。感想は「これはすごい!!!」の一言。間違いなく今の暗い空気感をぶっ壊すほどの破壊力満点ドラマでしたので、レビューをお届けします。
■ドラマ未視聴の人向け1話ストーリー
浜崎あゆみさんの自伝小説をオリジナルドラマ化させた本作。もともと土曜ナイトドラマ枠は「おっさんずラブ」や「東京独身男子」など、個性的なドラマが多い枠です。今回はいったいどんな演出があるのかと思い見ると、「す、すごい! とにかくすごい!」と語彙力を失ってしまうほどでした。
1話は福岡で芸能活動をしていたアユが、成功を求めて東京に上京。そこで、事務所を立ち上げたたばかりのマサと出会います。最初はマサのやり方に翻弄されるあゆですが、だんだんと信頼するように。そしてついには所属事務所をやめ、マサと一緒に歌手を目指すところまでが放送されています。
■クサすぎる演出がむしろクセになる
こう概要を書くと普通の映像化作品なのですが、とにかく脇を固めるキャラが濃い!そして演出がベタベタなのがいい!
ネットをざわつかせたのは、謎の眼帯秘書姫野礼香。田中みな実さん(33)演じる礼香はマサに強い執着心を持つ女性です。マサがアユに肩入れしていることを良く思わず、妨害したりマサにベタベタ忠告したりします。一方でマサと対立する社長に密告したりと、立場が謎のキャラです。
これがもう、なぜ眼帯なの?なぜヘビみたいにマサにまとわりつくの?なぜ登場すると色っぽいサックス音がなるの?と疑問でいっぱいになるのです。間違いなくこのドラマの見どころといえそうです。
また演出も、ベタにベタを10回くらい重ねたような作りになっています。
夜なのに空に虹が出現したり、マサ御用達のBARではマスターが気分転換にアコースティックギターを奏でていたり。アユに学校で友達ができたと思ったら、マサの連絡先をもらった途端に一瞬で友情は終わったり……。いやいや、展開クサすぎ! 早すぎ!
でもありえないからこそ、ファンタジーとしてかなり面白く見られるのです。個人的には今期、イチオシの作品です。
■“あの時代”のエネルギーを凝縮したおもしろドラマ
またドラマのBGMでは当然ながら、TRFなどといった往年のエイベックス関連ソングが多数流れています。だからこそ「懐かしい!」「この歌詞はこういう意味だったのか」と、SNSでは“あの時”を懐かしむ声で溢れていました。
ドラマ1話の反応を見ていて思ったのは、「アラサー&アラフォーの心には、あゆ魂がしっかり根付いている」ということです。
私自身はすでに、原作を読んでいます(浜崎あゆみはなぜ暴露本を出したのか 読んで気づく40歳の真意)。なのでこの物語がどう進んでいくか、何がフィクションなのかを確認しながら観ていくことになるでしょう。いっぽうで知らない人は純粋にコメディとしてのこのドラマを、懐かしさというソースを添えて楽しむことができると思います。
いやいや、アユの強さは令和になっても健在。笑いを求める皆さんは、土曜の夜11時15分は予定を明けておきましょう!