コピーライターの糸井重里(71)が4月26日、スポーツ観戦の面白さや感動を引き合いに出し「医療現場などで働いている人たちのことをもっと伝えてほしい」と自身のエッセイでつづった。ネットではその考えを疑問視する声が上がっている。
糸井は、自身の主宰するウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』内コーナー「今日のダーリン」で「スポーツというスポーツが中止になっていて」「大きななにかが欠けてしまったような気持ちでいる」と切り出した。そして「『ナマモノ』の活動が見たくて、ぼくらは声援を送ったり感動したりしていたのだ」「のっぺりとしたぼくらの日常に、全身全霊でなにかしている姿を見せてくれる。これが観戦スポーツのおもしろさの真髄だったと思う」と持論を展開した。
続けて、糸井はコロナ禍で医療関係や保育などに従事している人たちのことを「『全身全霊でなにかしてくれている』選手なんだと思う」とスポーツにちなんで表現。そして彼らが懸命に働いている様子をメディアで「伝えてくれないか」とつづった。
「糸井さんはそうすることで現場への敬意につながるといいます。しかし、スポーツ観戦の感動や面白さに言い触れた上で医療現場などでの全身全霊な様子を『伝えてほしい』と呼びかけるのは適切でしょうか。まるでスポーツ観戦の代替品のように『感動ものとして消費するのか』と違和感を覚える声が上がっています」(全国紙記者)
ネットでは、糸井の投稿を疑問視する声が相次いでいる。
《働く方々は“のっぺりした日常”に彩りを与えてくれる役割だそうだ…それを番組化? ワインでも飲みながら楽しむ様子が思い浮かんでしまった…。とんでもない悪趣味に思えるのですが》
《「大変な現場の人」を感動を味わうエンタメとして消費したい残酷さ》
《「生命の危険や過労の渦にいる」と糸井さん本人も認識してしてる人たちを「全身全霊で何かをしてくれてる選手」としてスポーツの面白さの代わりとして見たいという発想が怖いのですよ…》
《今も働いている労働者たちは、「俺たち」が気持ちよくなるための「見世物」じゃない》