新型コロナウイルスの感染者集団が発生した米軍キャンプ・ハンセンのゲートで車両をチェックする米軍関係者=16日午後3時16分、金武町 画像を見る

 

【沖縄 中部・北部】「心配していたことが起きてしまった」「市中感染は大丈夫だろうか」。米軍関係者を乗せた80代のタクシー運転手=沖縄市=が新型コロナウイルスに感染したことを受け、日常的にタクシーを利用する高齢者や基地周辺の住民は、“見えない敵”への不安を一層募らせた。基地内を出入りしていたタクシーの運転手からは「いつ自分が感染してもおかしくない」と戸惑いの声が上がった。

 

「あいえーなー。ついに出てしまったわけ」。16日午後、小雨が降る中、タクシーに乗って沖縄市役所を訪れた同市の男性(73)は運転手の感染を知り、驚きを隠せない様子だった。男性は歩行にはつえが必要で、移動はタクシーに頼ることも多い。「自分みたいに免疫力のない高齢者や持病がある人は感染すると一発でアウトだよ。運転手も高齢だし、容体が心配だ」とおもんぱかった。

 

米軍関係者が多く利用する飲食店などが軒を連ねる沖縄市中央。米軍関係者の感染が確認されて以降、町を出歩く人は激減した。

 

県民の感染が新たに確認されたことから、地元の我喜屋盛永センター自治会長は市中感染の広がりを懸念する。米軍関係者の行動歴が明らかにされていないことを危惧し「タクシーを使うなとは住民には言えない。改めて基地内外で感染防止を徹底する必要があるだろう」と話した。

 

米軍キャンプ・ハンセンのゲートがある金武町でも16日午後は雨が降り続いた。ゲートからは米軍関係の車両が出入りする様子が確認されたが、タクシーの姿はなかった。

 

ゲートに隣接する繁華街・新開地は人影もまばら。テークアウトの飲食店を訪れた人々も、商品を受け取ると足早に帰宅していた。

 

町内では新開地周辺にとどまらず、不安の声が高まっている。町屋嘉区在住の林昌志さん(50)=自営業=は「子どもたちへの影響が心配だ。北谷町のように、飲食店従業員や町民がPCR検査を受けられる体制を整えてほしい」と求めた。

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