普天満山神宮寺の入り口にレインボーフラッグを掲げる住職の金城良啓さん=19日、宜野湾市普天間 画像を見る

 

【宜野湾】沖縄県宜野湾市普天間にある普天満山神宮寺(東寺真言宗)が16日から、性的少数者に開かれたLGBTフレンドリー寺院として、性の多様性尊重を示すレインボーフラッグを入り口に掲げた。住職の金城良啓(りょうけい)さん(45)は「仏教はLGBTの存在や権利を認めている」と強調し、仏前で結婚式を開くことなども検討する。取り組みは県内約20の寺院でつくる県仏教会の中でも初とみられ、性的少数者らにも好評だ。

 

普天満山神宮寺の本尊は金色の観音菩薩(ぼさつ)で、訪問者を温かく受け入れる雰囲気がある。仏は男性と女性の両性を備え持つとされる。また「観音」は「音を観る」という意味で、「心の悩みや願いを聞き入れる」という。金城さんは、性的少数者が仏の姿を自分と重ね合わせ「安心してお参りし、心を軽くする場所になれば」と願う。

 

法的に同性婚は認められないが、仏前で結婚式を開き性的少数者を祝福することを検討中だ。来年4月に利用開始予定の納骨堂では、性的少数者同士への墓提供も予定する。多様な性が尊重される社会を目指すレインボーアライアンス沖縄の砂川秀樹さん(53)は「LGBTフレンドリーを示すことは、とても大きな力になる」と感じている。

 

性的少数者への偏見や差別が日本では根強く残るが、金城さんは「賛成も反対も両方飲み込んでやろう」と決意した。僧侶の家系に生まれ育ち、大学の卒業旅行でシドニーを訪れ、性的少数者らによるにぎやかなパレードに遭遇した。きらきらした参加者に感銘を受け「LGBTの方たちに関わることをやりたい」との思いを抱えてきた。

 

2014年に123代目住職となり昨年、他業種の有志との勉強会でその思いを語ると、反応は好評で今回の取り組みにつながった。LGBTフレンドリーを掲げる那覇市のホテルも参考にした。新型コロナウイルスの感染拡大で結婚式の実現は見通せないが、金城さんは「思っているだけでは思いは伝わらない。まずは旗から」と話す。性の多様性が尊重される社会に少しでも近づけるよう、最初の一歩を踏み出した。
(金良孝矢)

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