【本部】沖縄県本部町の海洋博公園で開かれているイルカショー「オキちゃん劇場」。名前の由来となったミナミバンドウイルカの雌「オキちゃん」は飼育年数46年目と、同種で国内最長記録を更新中だ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休止が1日に明け、再開されたショーでも力強いジャンプを披露した。
ミナミバンドウイルカは世界中の温暖・熱帯域に生息しており、国内では小笠原諸島や奄美などに分布している。他種のイルカと違い沿岸域に生息していることから、漁業での混獲や環境汚染などの影響も危惧されているという。
オキちゃんは体長約2.4メートルで体重は173キロ。1975年の沖縄海洋博覧会のマスコットとして奄美大島から空輸され、博覧会でもショーを披露した。以降も常設となった「オキちゃん劇場」で元気に泳ぎ続けている。最大4メートルの高さに達するジャンプや、ボールや輪投げの演技もベテランの域。現在、オキちゃんを含め6種8頭いる「オキちゃん劇場」のイルカたちのリーダー役でもある。水族館事業部海獣課イルカ・マナティー係の比嘉克さん(31)は「体調管理は常にしているが、オキちゃんはとにかく病気をしない。それが長寿の秘訣(ひけつ)だ」と語る。
劇場は新型コロナウイルスの感染拡大防止で2月末から長期休業を強いられた。比嘉さんは「イルカに『ショーがない』と伝えることはできない。休業中も練習を続け、いつもと同じ毎日を送らせてきた。飼育員自身も体調を管理しながら、イルカの細かな変化も見逃さないようにした」と振り返る。
ショーが再開した1日、約7カ月ぶりに観客席に人の姿が戻った。オキちゃんは仲間のイルカ8頭と迫力のショーを披露し、マスク姿の観客は写真を撮ったり、歓声を上げたりしてイルカたちの勇姿を目に焼き付けていた。
「これからもお客さんに海の生き物の魅力を伝えていきたい」。比嘉さんはショーを終えたオキちゃんの口元をなでながら、力強く語った。