店内の床下にあった地下室を発見した嶺井大地さん=10月30日、沖縄市中央の「TESIO」 画像を見る

 

【沖縄】沖縄市中央の自家製ハムとソーセージの専門店「TESIO(テシオ)」の店内で地下室が見つかった。店主の嶺井大地さん(36)らが、店を訪れた男性の言葉を頼りにドリルやハンマーで床を取り壊し、発見した。同店の場所にはかつてクラブがあったという記録が残る。嶺井さんはコザの繁栄の歴史を物語る地下室について「ロマンを感じた。地域の資源として大切にしたい」と語る。

 

2019年の夏の終わりごろ、閉店間近の時間帯に70代ぐらいの男性が店を訪れた。しばらく店内を見回した男性は「かつてここで働いていた」と語り始めた。男性は、沖縄で生まれ現在は東京に住んでいるという。建物の大家だった照屋正一さん(故人)に世話になったといい、同店の場所に以前あったクラブでウエーターとして働いた。建物のビルにはクラブやステーキハウスがあり、多くの米軍関係者が訪れた。売上金のドル札がレジに入りきらずに足で押し込んだ体験など、当時のコザの盛況ぶりを懐かしそうに語った。

 

男性は「ここには地下室があって、仕事終わりに仲間と飲むのが楽しみだった」と店の奥の床を指さした。それ以来「地下室の存在が気になっていた」という嶺井さん。今年6月に床を取り壊すことを決め、友人らとドリルやハンマーを使ってたたき割った。空いた穴から風が吹き抜けた。懐中電灯の光を照らすと空間があった。穴が広がるにつれ高揚感が増した。床下には高さ2・5メートル、約8畳の空間が広がっていた。

 

同店を訪れた下地美華さん(56)は「地下室があるんですか」と驚いた様子でのぞき込み「歴史を感じる」と感慨深げだった。

 

嶺井さんは「表現の場所など、みんなで楽しみつつシェアできる空間にしたい」と話し、今後の活用について考えを巡らせている。

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