国の「首里城復元に向けた技術検討委員会」(委員長・高良倉吉琉球大名誉教授)は26日、第3回会合を那覇市の沖縄総合事務局で開催した。正殿構造材の一部「小屋丸太梁」に県産のオキナワウラジロガシを使用することを決定した。同日までに国頭村と石垣市で候補の木が計8本見つかった。正殿正面の「向拝柱」に使用する県産のチャーギ(イヌマキ)は、見つからなかったが、長崎県で適した木が7本見つかった。正殿の構造材は原則国産ヒノキを使用する計画だったが、正殿を象徴したり、支えたりする重要な両部材は樹種を変更する。
県と那覇市に寄せられた寄付金を活用して調達する。琉球王朝時代の首里城では小屋丸太梁と向拝柱に県産のオキナワウラジロガシとチャーギが使用されており、技術検討委は適当な材木を探していた。昨年の火災で全焼した正殿の両部材は九州産だった。
向拝柱は正殿正面に位置し、鮮やかな彩色が施される4本の柱だ。小屋丸太梁は天井裏で見えない位置にあるが全体を支える重要な6本の部材。向拝柱の規格は直径40センチ、長さ5メートル、小屋丸太梁は直径46・1センチ、長さ6・5メートル。
高良委員長は「言葉がない。彩色・加色するイヌマキに一番ふさわしい条件がそろった。オキナワウラジロガシの強度は非常に安定し、過去の地震でも倒壊したとの資料はない。琉球人は木の特性を理解していた。琉球ではこれらの木材を計画的に植栽していたが、今は適した木材が見つけにくい」と語った。
会合では、防災・防火対策の方向性も確認した。昨年の火災時、消防への通報が遅れた反省を踏まえて、火災発生時に自動通報できる通報装置の設置を決めた。消防の水の供給が一時的に滞り、消火活動に支障があったことを踏まえ、新たな消火・防火水槽の増設と、首里城公園周辺に私設の消火栓の新設も決めた。