笑顔で後輩の肩に手を置く羽生(写真:アフロ) 画像を見る

「お誕生日おめでとうございます。私が26歳のときは、なにも成しえていなかったです。羽生さんはすでにオリンピックで金メダルを2回も取って、この先、前人未到のなかで、何を成していくかということが課題になるのかなと思いますけどーー」

 

“羽生選手にお祝いの言葉を贈るとしたら?”という記者の問いかけに、羽生の早稲田大学時代の恩師、人間科学部人間情報科学科の西村昭治教授が、そんなふうに答えてくれた。

 

12月7日に26歳の誕生日を迎えた羽生結弦。先日は、まもなく行われる日本選手権にエントリーしたことも大きな話題に。今もなお現役選手として人々を魅了し続ける羽生だが、引退後の人生も気になるところ。

 

羽生は過去にもインタビューで「自分の経験をみんなに伝えたい」と語るなど、“後進指導”の夢を持っていることが伺い知れる。

 

前出の西村教授は、ゼミの指導教授として羽生をサポートしてきた身として、彼の“指導者”としての素質を感じているという。

 

「人に教えるためには言葉で伝えなければいけないところがあると思いますが、たとえば“重心は外側にあるのか、内側にあるのか”“右足の小指で踏み切るのか、親指の付け根で踏み切るのか”といった具体的な指示を、羽生さんは的確にできると思いますね。

 

彼の論文からもわかるんですが、自分の体の動きを客観的に言葉で表現できる人なんです。フィギュアスケートを詳しく知らない私が見ても“ああ、そういうことなんだ”という気づきがありますし、たいへんわかりやすいんです。いい指導者になると思いますね」

 

また、羽生が大学時代に所属した西村教授の研究室は“遠隔教育”が一つの研究テーマ。羽生自身も現在、カナダにいるブライアン・オーサーコーチ(58)からリモートで指導を受けているのではないかといわれているが、いずれは“世界のどこか違う国にいる選手に、日本にいる羽生が指導をする”といった未来も来るのかもしれない。

 

「彼は研究者としても一流の素質があると私は思っていますから、研究も続けてほしいですね。それを後進の指導にも役立てていただければと思います」(西村教授)

 

冒頭の西村教授からの誕生日メッセージには続きがある。

 

「まだまだ人生は長いです。ゆっくり、ゆっくり着実に進んでいけば、きっと素晴らしい人生が待っているんじゃないかなと思います。楽しみにしていますので、頑張ってください」

 

まだ26歳。いまは羽生の現役生活をこの目に焼き付けたいーー。

 

「女性自身」2020年12月22日号 掲載

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