「今日を持って引退することになりました。このコロナの中、 両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖いので 休場したいと佐渡ケ嶽親方に伝え協会に連絡してもらった結果 協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく 出るか辞めるかの選択肢しか無く 自分の体が大事なので」
大相撲初場所を目前とした1月9日、こうTwitterで引退を表明したのは佐渡ケ嶽部屋に所属する序二段の琴貫鐵(22)。続くツイートで「コロナに怯えながら我慢して相撲を取ると言う選択肢は選べず」と胸中を明かし、「今までの応援ほんとにありがとうございました」と締めくくった。
あまりに突然の出来事だったが、琴貫鐵に理解を示す声が広がっている。
《未来のある力士がこのような形で引退するには、断腸の思いがあったに違いない》
《これは苦渋の決断だったろうね。若いと言えど感染した時の重症化リスクとかを考慮したのかな》
《これは他人事ではないなぁ。心が痛む》
緊急事態宣言の発令を受け、観客数を上限5000人と定めた初場所。急きょ8日に、協会員878人を対象としたPCR検査が実施された。そして検査の結果、4部屋65人の力士が陽性者・濃厚接触者として休場する事態となった。
日刊スポーツによると、陰性だった会員のみが初場所に出場すると定められ、休場には診断書が必要だったとも報じられている。陰性だった琴貫鐵は、佐渡ケ嶽親方からその説明を受けたうえで引退を決めたという。
日本相撲協会の芝田山広報部長は、同紙の取材に対して「会社にもコロナが怖いから出社したくないって言う人もいるだろう。それをみんなが言っていたら仕事にならない」とコメント。協会は感染防止対策を徹底しているとし、「それに対応ができないなら、本人が出処進退を考えるしかない」「理屈が通らないでしょ」などと意見を述べたという。
昨年5月には、高田川部屋に所属する三段目の勝武士(享年28)が新型コロナウィルス性肺炎による多臓器不全で亡くなった。感染を原因に、日本のプロスポーツ選手が命を落としたのは初めてだった。
佐渡ケ嶽部屋の公式サイトからは、すでにプロフィールが削除されている琴貫鐵。二択で進退を迫った協会に、批判の声が上がっている。
《いやいや、理屈通らない、で突き放して終わるのではなくて、誰も経験したことのない事態になり、かつ時代は刻々と変わっているんだから、柔軟に考えることが必要なんじゃないの?》
《マスクをして出社する会社員とは力士は違うだろう。裸で無防備で接するのだ。コロナの感染としては一番危険だ。そういう意識がない芝田山親方の危機感のなさにあきれるね》
《力士にも休場を選択する権利を与えてあげればいいのに…》