東日本大震災が発生してから今年で10年を迎える。
2月10日、天皇皇后両陛下が岩手県、福島県、宮城県の被災地3県をオンラインでご訪問する計画が進められていると報じられた。
被災地に心を寄せる陛下と雅子さまのご希望によるもので、新型コロナウイルス感染拡大の影響で現地への訪問が難しいなか、オンラインで復興状況の視察と被災者との懇談を行うことになる。2月16日に福島県をお見舞いされ、岩手県、宮城県と順次進められるという。
陛下と雅子さまは、’11年6月に宮城県山元町の避難所をお見舞いされた。そして同年7月に福島県郡山市、翌8月には岩手県大船渡市を訪れた。その後も継続的に被災地を訪問されている。
今年は年始の恒例行事である歌会始が延期となったが、これまで雅子さまは復興の願いを込めた歌を詠んでこられた。
福島県の福島市土湯温泉町には、雅子さまの歌が刻まれた歌碑が’13年に建立されている。
《春あさき林あゆめば仁田沼の岸辺に群れてみづばせう咲く》
雅子さまがこの歌をお詠みになられたのは、’12年の歌会始。陛下と雅子さまは、’96年4月に土湯温泉町をご訪問されている。それを記念する行啓記念碑のとなりに、雅子さまの歌碑は建立された。
「雅子さまは仁田沼に群生するミズバショウの光景を浮かべながら、被災地の人々に思いを馳せて詠まれました」(皇室担当記者)
’19年3月には宮城県名取市の閖上地区にある「震災メモリアル公園」でも、雅子さまが詠まれた《あたらしき住まひに入りて閖上の人ら語れる希望のうれし》の歌が刻まれた歌碑が建立された。
雅子さまは’17年11月、陛下とご一緒に復興公営住宅「名取市閖上中央第一団地」で被災者と交流された。雅子さまはその時の気持ちを、’18年の歌会始でこの歌に込められたのだ。
これまで体調不良などの理由から歌会始の欠席が続いていた雅子さまだが、令和初となる昨年の歌会始には17年ぶりにご出席。「望」というお題に、雅子さまは《災ひより立ち上がらむとする人に若きらの力希望もたらす》と詠まれた。
「陛下と雅子さまは’19年12月末、台風19号で被災した宮城県と福島県をお見舞いされました。雅子さまは被災地で高校生などの若者が復旧作業に励む姿に感銘を受け、この歌をお詠みになられたのです。
コロナ禍の現状では被災者と対面することは叶いませんが、それでも陛下と雅子さまは被災者とふれ合う方法を模索されてきました。すでに1月には、九州豪雨で被災した熊本県の被災地をオンラインで視察されています。震災や豪雨の被災地に心を寄せ、復興を願われてきた陛下と雅子さまのお気持ちは、画面越しでも被災者の心に届くでしょう」(前出・皇室担当記者)