2月3日付けの米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの広告欄に、大手通信会社AT&TのCEOジョン・スタンキー氏に宛てた“不満”が掲載され話題となっている。
「AT&Tは電気通信の旗手であることを誇りとしている。しかし、ノースハリウッドの住民にとって、AT&Tは今や期待外れでしかない。隣人の多くはユニバーサルやワーナー・ブラザース、ディズニースタジオなどでクリエイティブな職についており、我々は現在のテクノロジーに遅れずついていく必要がある。AT&Tは100Mbpsの回線速度を喧伝しているにも関わらず、私たちの住むところでは最大3Mbpsしか出ない。競合企業の回線は200MBps出ている。なぜ大手通信会社であるAT&Tは、ノースハリウッドの私たちをこれほど冷遇するのか」
この広告を出稿したのは、90歳のアーロン・M・エプスタインさん。1960年代からAT&Tのサービスを利用し続けている忠実な顧客だ。電話だけの時代は何の不満もなかったが、インターネットが普及し、様々なストリーミングサービスが選べるようになった5年ほど前から、AT&Tが提供する回線の劣悪さが際立つようになったという。ネット配信の映画を見ていると、回線速度は時折1.5Mbpsまでに落ち、映画はまるでスライドショーのようだったとか。
地元テレビ局KTLAの取材に、エプスタインさんはこう語る。
「AT&Tには『あなたがたは一体いつ我々に高速回線を与えてくれるつもりなのか』とずっと電話をかけ続けていました。彼らは『もうすぐ、もうすぐですよ』なんて言いますけどね、何が腹立つって、『より早いインターネットを試して』という広告のチラシやメールをしょっちゅう寄越すんですよ」
業を煮やしたエプスタインさんは、AT&Tの本社があるテキサス州ダラスとニューヨークのウォール・ストリート・ジャーナルに上記の広告を出すことにしたのだ。かかった費用は計1万ドル(約105万円)。
新聞広告が掲載された日の午前中、AT&Tの広報担当者から直接エプスタインさんに連絡があり、「あなたのために何ができるか、調べてみます」と約束したという。エプスタインさんは、今回の行動がきっかけでノースハリウッドに光ファイバーが敷設されれば地域の皆のためになる、と1万ドルの使い途に満足しているそうだ。