沖縄県産コーヒーの振興に取り組むべく、農林中央金庫那覇支店は、又吉コーヒー園(東村、又吉拓之社長)に800万円の出資を決定した。県内の中核生産者である又吉コーヒー園は、出資を設備導入に活用し、他の生産者とも連携を強化して、県産コーヒーの生産拡大を目指す方針だ。
又吉コーヒー園は、コーヒー豆の生産、加工、販売を中心に、収穫・焙煎体験や宿泊事業も手掛ける。2000本のコーヒーを栽培し、栽培本数と作付面積は県内最大級という。今後、生産量を拡大していく予定だが、コロナ禍で観光事業が打撃を受けているという。
又吉コーヒー園は出資金を活用し、脱穀機と選別機を導入する方針。名護市の中山コーヒー園との共同利用も検討する。他の生産者から豆を買い取ったり加工を受託したりして、生産者間で連携を強化する。
沖縄は、「コーヒーベルト」と呼ばれるコーヒーの栽培に適した地帯の北限に位置し、産地として可能性を秘めている。県内には約40人の生産者がいるとされるが、収穫後の脱穀や選別などの作業負荷が大きく、多くの生産者が自家消費や小口取引をしている。
又吉社長は「コーヒーは沖縄だからできる農産物。他の生産者と連携して規模を拡大することで、需要と供給のバランスも取れる。コーヒーを沖縄の地域ブランドにしたい」と話した。
農林中金那覇支店は、アグリビジネス投資育成が手掛ける、災害などからの復興を目指す農業従事者を対象とする「復興ファンド」を通じて出資する。今回はコロナ禍からの復興を目的とした全国初の出資事例となる。同ファンドは又吉コーヒーの株式を取得するが、議決権は持たない。
同支店は販路拡大支援として、県内リゾートホテルへのセールスに同行する。3月6日から恩納村のホテルモントレ沖縄スパ&リゾートのティーラウンジで、又吉コーヒー園のブレンドコーヒーが提供される。