60年余にわたり県内各地の戦跡で遺骨収集を続けてきた国吉勇さん(82)=那覇市=が、活動の中で集めた沖縄戦関連の遺留品約10万点の引き取り手を探している。体力の低下を理由に2016年には活動の第一線から退いたが、ことし3月にも遺留品が持ち主の地元に返されることもあった。沖縄戦の記録を継承するためにも、自治体や資料館など公的機関に引き取ってもらうことを希望している。
6歳で沖縄戦を体験し、祖母、母、兄、弟、めいの5人を亡くした国吉さん。高校生の頃に同級生5、6人で遺骨収集を始めたという。活動で拾い上げた遺骨は約3800人分。遺留品には、人骨がくっついた茶わんや弾丸で穴の開いた水筒などがあり、生々しい戦争の爪痕が刻まれている。他にも日本軍の軍刀や薬品瓶など細かいものも含めて10万点ほどあるとみられている。
遺留品のほとんどは自宅兼事務所の一角に設けた「戦争資料館」に保管されており、その一つ一つに収集した年月日と場所が記入されている。これらの情報を元に遺骨や遺留品を遺族に返す活動も続けてきた。
国吉さんと相談し引き取り手を探している三男の三雄さん(53)は「沖縄で見つかったので、できれば沖縄で保管した方がいいと思う。全て一括で引き取ってほしいが、収集地の資料館などに引き取ってもらうこともできるのではないか」と語る。
(仲村良太)
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