【北部】米軍北部訓練場のメインゲートで米軍や軍雇用員らの通行を妨害したとして、県警が4日、威力業務妨害の疑いでチョウ類研究者の宮城秋乃さんの自宅を家宅捜索したことが分かった。識者は「捜査は過剰だ。表現の自由の権利に対する不当な侵害ではないか」と指摘した。この件について県警は「回答を差し控える」としている。
宮城さんによると、4日午前、県警の捜査員ら約10人が宮城さんの東村の自宅内や倉庫を約1時間半かけて捜索した。パソコンやタブレット端末、ビデオカメラなどを押収し、車や書籍類などを撮影した。
宮城さんは4月7日、同訓練場ゲート前にある基地との境界線内側に米軍の物と思われる廃棄物を置いて抗議。その際、車複数台が約50分間通行できない状態になった。県警からはその件の捜査だとの説明があったという。
宮城さんはこれまで、米軍の廃棄物問題や訓練による騒音問題などを調査し告発してきた。本紙の取材に「あらゆる手段で抗議してきたが、米側や政府に見向きもされなかった。こうした背景を考慮せずに、短絡的に威力業務妨害とするのは納得できない」と述べた。
さらに「返還地で火薬入りの弾薬を見つけて通報した際、県警は職務であるのにもかかわらず回収しなかった。一方で廃棄物について訴える市民に対し、家宅捜査までするのは矛盾を感じる」と語気を強めた。
のぞみ法律事務所の金高望弁護士は「米軍側が廃棄物を動かすことはできた。宮城さんの行動が『威力』に当たるとは言いにくく、家宅捜索の必要性もない。情報収集などの別の目的があるのではないか」と指摘。「宮城さんは抗議として表現活動をした。表現の自由についての考察を欠いた強制捜査だ」と述べた。
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