新型コロナウイルスの感染予防で人々の交流が減り、誰にもみとられずに死亡する「孤独死」の発生が懸念されている。自室で孤独死をした人々の部屋には、コロナ禍の影が垣間見える。遺品整理、特殊清掃を担うビージーエム沖縄・リリーフ沖縄店(豊見城市)の作業員に同行し、孤独死の現場を取材した。
5月下旬、作業員が訪れたのは浦添市のアパート。対象となる部屋の間取りは1K。ベッドとテレビの間の床に、遺体から出た血液と体液によって染みができていた。50代の男性の遺体があった跡だ。作業員は男性の頭部があったと思われる場所に、部屋に残されていたたばこと水を供え、手を合わせてから作業に取りかかった。
特殊な洗浄液を床にまき、キッチンペーパーで丁寧に拭き取っていく。「きちょうめんな性格の方だったと思う。部屋が片付いていて、作業がしやすい」。亡くなった男性に敬意を表しながら、作業を進めた。
ベッドサイドのテーブルの上には、書類や封書がまとめられていた。その中に新型コロナウイルスのワクチン接種券があった。別居している家族のものだろうか。接種券の対象者に届かないまま、遺品として整理された。
リリーフ沖縄店の儀間尊成事業部長は、コロナ禍で孤独死が増加していると感じている。今回の男性の死因は心筋梗塞だという。
「コロナ以前は一つの現場を4日ほどで作業し、終わったら次の現場へ移っていた。今は三つ、四つの現場を同時並行でやっている状態だ」と説明した。特殊清掃業への業者参入が活発化し、不十分な作業で依頼者とトラブルになることも増えているという。
(稲福政俊)
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