漫画『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎氏(48)が目の手術のため「週刊少年ジャンプ」の連載を6月19日発売号から7月10日発売号までの4週間休載するという。
6月6日に更新された「ONE PIECE スタッフ」公式ツイッターアカウントには尾田氏の手描きコメントが投稿され、《『最近双子の人多いよねー』なんつってたらひどい“乱視”でね。物がぶれて見えるんですよ。これが仕事に支障をきたしてまして、去年から編集長に相談してたんです》と、乱視を改善するための手術であることが明かされた。
乱視を直すための手術とは、どのようなものがあるのだろうか? 二本松眼科病院副院長の平松類医師が解説してくれた。
「乱視とはそもそも、角膜や水晶体のゆがみによってものを見るときに焦点が1カ所に集まらずモノが二重に見えたりする状態です。最も多いのは角膜に原因があるタイプの乱視。角膜が円錐状に飛び出してくる円錐角膜という病気の場合もあります。水晶体に問題がある白内障由来のものもありますがケースとしては少ないです。
通常の乱視ならコンタクトやメガネによる矯正で十分という人が多いでしょう。ただ、すごくひどい人や円錐角膜による乱視の場合は、手術というのも視野に入ってきます」(平松医師・以下「」内同)
手術による乱視の治療法としてはレーシックとICLが一般的だという。
「レーシックは角膜を削って乱視を治すもの。ICLは目の玉の中に人工のレンズ、簡単にいうとコンタクトみたいなものを入れて乱視及び近視を治します。円錐角膜による乱視だと、角膜内リング・クロスリンキング・角膜移植などで、乱視を矯正する方法もありますね」
レーシックやICLの場合、保険適用にはならない。費用としては、レーシックの場合20~40万円、ICLだと40~70万円ほどが相場だ。
「自費診療のため値段は病院によってピンキリです。レーシックのほうが一般的に安いことが多く10万円代から施術をする病院もあります。レーシックは機械による細かい手術ができますが、角膜を削ってしまうのでやり直しが効きません。
一方ICLはレンズを入れるだけなのでやり直しが効きやすい。その代わり、人間の手でレンズを入れるので、たとえば乱視が112度なのを112にピッタリ合わせるのってとても難しいんです。なので、“大体”乱視を治すとか、“大体”近視を治すという形になります」
どちらも大規模な手術ではないため、日常生活には1日~2日で戻れるケースが多いという。
「入院ではなく日帰りで手術を行うケースがほとんど。眼帯をしない施設もあるくらいです。手術時間も1時間かかるということはなくて、10分~20分ほどで終了します。
ただし、円錐角膜の手術の場合は治療が大きくなるので、安定するのに2週間から1か月ほど必要です。白内障の手術自体も、白内障手術は翌日から見やすくはなるものの、度数が安定するには2週間から1カ月ほどかかりますね」
また、平松先生は「モノが2つに見えるから乱視」と決めつけないようにと警鐘を鳴らす。
「片目でモノを見て2つに見える場合は乱視だったり白内障だったりを疑ってもいいのですが、片目で見ると正常で、両目で見ると2つに見えるという場合は、脳の病気の場合もあります。早く診察しないと命に関わる病気のこともあるので、自己診断で乱視と決めつけず病院に行くことが大切です」
レーシック・ICLとも高価な手術にはなるが、乱視がつらいという人には検討する価値がありそうだ。