「天地神明に誓って知りませんでした」
中古車販売大手「ビッグモーター」による自動車保険の保険金不正請求問題で、7月25日に同社の兼重宏行社長らが記者会見を開いた。“経営陣が不正を把握していなかったのか”との質問に、兼重社長は冒頭のようにキッパリ否定した。
会見では兼重社長以外に、和泉伸二専務取締役、石橋光国取締役営業本部部長、陣内司管理本部長が出席。兼重社長と息子で副社長の兼重宏一氏が26日付で引責辞任し、新体制では和泉氏が新社長に、石橋氏が副社長に就くと発表された。
しかしながら、会見会場に宏一氏の姿はなかった――。宏一氏をめぐっては従業員に対するパワハラが報じられており、報道陣からは宏一氏の責任を問う質問も相次いでいた。
宏一氏を中心に降格人事が頻繁に行われているとの指摘に、兼重社長は「創業当初から、『この人ならばできるだろう』という抜擢人事です。仕事をやってもらって『まだ十分な力がないね』という場合はすぐ降格します」と説明。その上で「今回、『頻繁に』と言われていますが、復活した人間も同じくらいおります。ちょっと行き過ぎがあったのかもわかりませんけども、悪意を持ってやるということは一切ありません」と、弁明していた。
「同社では故意に車を傷付けるなどして、自動車保険の保険金を不正に請求していました。外部弁護士がまとめた調査報告書によれば、不正が横行した背景には過剰なノルマや異常な降格人事があったと指摘されています。テレ朝の報道では、元社員が’19年に宏一氏から高圧的なLINEが送られてきたことを告発していました。そこには、《店長は何してるの?》《必要ないなら人が足りないところに異動させますかね》といったメッセージが並んでいました。
一方で兼重社長は会見で、息子の仕事ぶりを“一生懸命、会社の業績を上げようと動いていたのがプレッシャーになっていたのでは”と推し量っていました。ですがパワハラについては、和泉専務と同様に“知らなかった”というのです」(全国紙記者)
宏一氏の退任について、和泉専務は「不正に直接関与というよりは誘導したという原因の一端があるということで、本人が自主的に退任を受け入れた」と説明。また陣内氏からは、宏一氏による“反省の言葉”が次のように読み上げられるのみだった。
「今回、お客様のためと思って体制を整えていた時についカッとなって強い言葉で降格という処分を行ったことに対し、あの時にこういう風な形で言うべきではなかった」
自ら公の場で説明をせず、“雲隠れ”状態となっている宏一氏。ネット上では厳しい声が相次いでいる。
《逃げるな》
《息子も出てこい!》
《ビッグモーター、なんで息子の兼重宏一副社長は表に出てこないの? 息子の方が悪評高そうだけど、世間から逃げ回ってる印象》
《ビッグモーター副社長がやばいって現役社員が多く声上げてるのに記者会見では逃げて出てこないって……子供じゃないんだし誠意見せなあかん……》
兼重社長によれば、今後は宏一氏とともに「経営に関与することは一切ない」と語っていた。だがその前に、宏一氏も公の場で数々の問題を説明すべきではないだろうか。