8月31日に、東京電力福島第1原子力発電所の処理水を「汚染水」と発言した野村哲郎農林水産大臣(79)。
同日午後に首相官邸で漁業関係者への支援策について関係閣僚らと協議した後、記者団に「汚染水のその後の評価等について情報交換をしたということです」と語ったのだ。現職の農水相による言い間違えに批判が相次ぎ、余波は広がり続けている。
この発言に、岸田文雄首相(66)も激怒。同日中に「遺憾なことであり、全面的に謝罪するとともに撤回するよう指示を出した」と、記者団に述べていた。
「8月24日に海洋放出が始まった原発の処理水ですが、汚染水とは別物です。多核種除去設備『ALPS』によって、汚染水から大半の放射性物質を取り除いた水を処理水といいます。ただしトリチウムという放射性物質は除去できないので、濃度を下げるために処理水を海水で大幅に希釈してから海洋放出しています」(全国紙記者)
岸田首相の指示を受け、「処理水を『汚染水』と言い間違えたことについて、全面的に謝罪して撤回をしたい」と陳謝した野村大臣。いっぽう、「なぜそのときに汚染水と言ったのか、私も自分で言ったということを、もう全然記憶になかった」と語っていた。
そして一夜明けた9月1日。野村大臣は記者会見で、「福島の皆様を始め関係者に申し訳なかった気持ちでいっぱいだ。あらためて緊張感をもって万全を尽くしたい」と改めて謝罪。いっぽう記者から“紙を読んで謝罪している”と指摘されると、笑いながら「顔を上げて言えばよろしかったでしょうけど、私は時々口が滑ってしまう恐れがあるので。こうして間違わないように、昨日は読ませていただいた」と釈明したのだった。
野村大臣は続投を表明し、岸田首相も「信頼を挽回してもらうことが重要」と更迭を否定。だが野村大臣の釈明は事態を悪化させてしまったようで、ネット上では辛辣な声が相次いでいる。
《『時々口が滑ってしまう』人に任せられる職務なんだろうか?》
《口が滑るってのは、思わず本当の事を口にした時に使う言葉だよ》
■不安視されてきた野村大臣の“緊張感の欠如”…「定年制の導入」求める声も
野村大臣といえば、昨年8月に発足した第2次岸田改造内閣に当時78歳で初入閣した人物。だが大臣就任後は、“緊張感の欠如”も指摘されていた。
「鹿児島県霧島市出身の野村大臣は、JA鹿児島県中央会で参事や常務を歴任。’04年の参院選で鹿児島選挙区から立候補し初当選し、現在は4期目です。農林水産大臣政務官や参議院農林水産委員長、自民党・農林部会長(3期)を務めてきた実績があります。
しかし、立憲民主党の泉健太代表(49)が会見で『以前からおかしい』と指摘していたように、野村大臣の緊張感のない言動は不安視されてきました。最近では8月1日の会見で、携帯に着信があると電話を取り出して『いま会見中です』と応じたというのです」(政治部記者)
原発の処理水をめぐって、国は風評被害が深刻な漁業者に対して「全責任を持つ」と呼びかけている。しかし野村大臣の“失言”によって、風評被害が助長する恐れもある。国民の“食の安全・安定供給”を担う立場であるにもかかわらず、重要な局面において「口が滑ってしまう」との言い訳は通用しないだろう。
岸田内閣において最高齢である野村大臣の言動には“年齢的な不安”を指摘する声もあり、ネット上では「政治家の定年制」の導入を求める声が広がっている。
《ほんと切実に政治家に定年制度設けて欲しい……》
《年齢的にやはり大臣職も65歳以下にする等した方が良いと思います》
《後期高齢者は議員自体引退でいいんじゃないですか? 若い方のサポートに回ってください》