猛暑も物価高も早く終わってほしい。そんな願いとは裏腹に、10月からの家計には、さらなるピンチが訪れそうです。
理由としてはまず、ガソリン代の高騰があります。6月からガソリン補助金が徐々に縮小されたため、小売価格は15週連続で高騰。全国平均は1リットル185.6円と過去最高を記録しました(8月30日・資源エネルギー庁)。
そこで、岸田首相は9月末で終了予定だった補助金を年末まで延長し、1リットル175円程度になるよう調整すると表明。ただ、ガソリンの高騰は今後も続き、補助終了の12月ごろに同じ議論を繰り返す“いたちごっこ”になるのでは。
私は当初から「トリガー条項の凍結解除」を主張してきました。トリガー条項は、3カ月連続で1リットル160円を超えたらガソリン税の一部25.1円の課税をやめ、減税して価格を抑える仕組みです。
ただトリガー条項は’11年から凍結中。国は「凍結解除には法改正が必要、時間がかかる」の一点張りでしたが、ガソリン補助金開始から1年以上たった今、ただの言い訳だったことは明らか。一切の減税を許さない財務省に押し切られ、庶民の生活に無関心な政府が、付焼き刃の補助金を繰り返すだけでは焼け石に水でしょう。
■インボイス、酒税もわれわれの家計に影響
次に、電気・ガス代の高騰です。現在、電気代には1キロワット時あたり7円、ガス代には1立方メートルあたり30円の補助金が出ていますが、9月末で終了の予定でした。
ですが、こちらも延長するようです。ただ家庭で電気・ガスをよく使うのは12~2月。延長期間を、ガソリン同様年内とするのか。庶民生活への関心度が見えるので、延長期間に注目しましょう。
もう1つ、10月から「インボイス制度」が始まります。インボイス制度は、中小の事業者やフリーランスなどに消費税納税についての選択を迫るもの。こうした事業者には「実質増税」ですが、会社員には関係がないと思う人が多いでしょう。しかし実は、私たちの電気代が影響を受けるのです。
というのも電気代には、中小の事業者や個人が太陽光パネルなどで作った再生可能エネルギーの買取り費用が、「再エネ賦課金」として上乗せされています。こうした事業者はインボイス制度の影響を受け、買い取る電力会社にも’23年度中に58億円の負担が生じるとの試算も。これを国は、再エネ賦課金に上乗せする方針です。
負担増は毎月の再エネ賦課金の0.2%程度ですが、インボイス増税のツケを全家庭に払わせる「隠れ増税」には違いありません。
さらに、10月からは酒税法の改正も。ビールの酒税は下がりますが、第3のビールは上がります。庶民には増税といえるでしょう。
物価上昇を加味した実質賃金は15カ月連続マイナス(’23年8月・厚生労働省)で、家計は火の車です。ブライダル企業への補助金などもってのほか。庶民の生活支援を最優先してほしいものです。