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2020年3月、韓国を震撼させたn番部屋事件。メッセージアプリ「テレグラム」内で、未成年者を含む女性に対する暴行や性搾取シーンを撮影した動画が流布・販売されていたおぞましい事件として記憶されている。そのオンライン上の性犯罪の実態を暴いたのは、2人の女子大学生「追跡団火花」による潜入取材だった。

 

「プル」と「タン」からなる追跡団火花が、彼女らが事件を暴くまで、そしてその後の韓国社会の変化ついて綴った書籍『n番部屋を燃やし尽くせ』(光文社)から、現代社会で横行しているデジタル性犯罪の実態について、一部抜粋、再構成してお届けする。

 

■合成写真でセクハラを楽しみ人たち

 

10月になると、彼ら〔テレグラム内で流通する性的搾取物を閲覧する加害者たち〕にとってn番部屋は「過去の存在」になっていた。彼らはまた新しいものを求めて、「知人凌辱」に熱中し始めた。誰かが知人の写真をアップする。次に「能力者」と呼ばれる者たちがその写真を他人のヌード写真と合成してばらまくのだ。そしてルームの加害者たちは、これを見ながらセクハラにふけった。被害者を対象にして侮辱的な小説を書き、はしゃぎ回った。このような知人凌辱ルームが数十個も作られた。先生部屋、軍人部屋、警察部屋、おばさん部屋、中高生部屋など、私たちが入室した知人凌辱部屋だけでも10個以上になる。

 

当初は、合成写真だから性的搾取動画よりはましだと思った。しかし、すぐにそれは錯覚に過ぎないと気付いた。彼らは自分の恋人、友人、家族、先生を侮辱して楽しんでいたのだ。このルームにいる人たちは、一体誰なのだろう。知り合いだったらどうしよう。それでも人間を信じて生きていけるだろうか。

 

数日後、学校の後輩の写真が個人情報とともにアップされた。後輩にこの事実を知らせるべきかどうか悩み、学校でその後輩と会うたびに罪の意識に苦しんだが、とてもそんな事実を伝えることはできなかった。犯人を捕らえるには、あまりに情報が足りなかった。1年たったいまも、その後輩を見ると申し訳ない気持ちになる。

 

被害者が増え続けるのを黙認することはできなかった。可能な限り防がなくては。そこで、まずSNSのハッシュタグ機能を利用し、特定の職種を検索した。知人凌辱ルームにアップされた写真とハッシュタグ機能で探した写真を一つひとつ照らし合わせて、特に被害がひどい人たちを探し出した。被害者を探しあてても、事実を伝えるのは容易ではない。それでも、SNSのメッセンジャー機能を通じて私たちの活動を紹介し、被害事実を伝えていった。あなたの写真が数千人のユーザーがいるルームでセクハラの対象になっているということを伝えなければならないのだが、なかなか話を切り出せなかった。それでも知らせる必要があった。思い当たる人物がいるかを尋ね、警察に通報することを勧めた。しかし、勇気を出して各地方警察署に通報した被害者たちは、こう口をそろえた。

 

「警察に言ったら、テレグラム内での犯罪行為は令状の発付もできないんだそうです。加害者を捕まえることはできないと……」

 

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出典元:

WEB女性自身

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