2月24日、卓球の世界選手権団体戦で、最強・中国と決勝で対戦した日本チーム。第3試合では、平野美宇(23)が世界ランク2位の王芸迪にストレート勝ちし、日本を沸かせた。
テレビで観戦していた母・真理子さんはこう語る。
「大事なポイントをとったとき、無言で拳を天井に突き上げていましたが、我が娘ながら本当にかっこよかったです。静かに闘志をむき出した瞬間だったと思います。
精神的にタフになったのは、パリ五輪選考会で苦戦したこともあったと思います。選考対象の国内大会で、8位止まりが続いてしまって。当時は美宇もかなり落ち込んでいました」
そんな平野を吹っ切らせたのは真理子さんの、「今度の大会、美宇が優勝するなんて思っている人は誰もいないよ。優勝できなかったらどうしよう、なんて考えるのはおかしいでしょう」という言葉だった。
「試合は『勝つか、負けるか』『やるか、やらないか』ですが、最近の美宇は『やるか、やるか』という言葉を自分に言い聞かせて、気持ちをうまくコントロールしています。
中国選手相手の試合ですと、まさに『やるか、やるか』しかないのです。とりあえず安全に打ち返すなんてことをした瞬間に負けてしまいます。安全を考えずに、常に攻撃的にポイントを狙う……、その『やるか、やるか』を実践できたから勝てたのだと思います」
最近の平野の活躍を見て、真理子さんは娘が小さいころのことを思い出すという。
「3歳ごろ、私が生徒さんと練習をしていると、いつもドアの陰から『美宇にも卓球やらせて~』と叫んでいました。
それに小学1年生、全日本のバンビの部で優勝したときに、『将来はおもちゃ屋さんじゃなくて、オリンピックで金メダルをとる』と言い出した姿。
決勝戦で拳を突き上げたときにも、『あのころの夢に向かって突き進んでいるのだな』と、感慨深かったです」