7月7日の投開票に向けて史上最多の立候補者が連日しのぎを削っている東京都知事選。そんななか、6月23日に放送された『アッコにおまかせ!』(TBS系)での、司会・和田アキ子(74)の発言が“バランスを欠いている”として波紋を呼んでいる。
現職の小池百合子知事(71)と元立憲民主党参院議員の蓮舫氏(56)による事実上の一騎打ちとみられている今回。番組では冒頭から、小池氏と蓮舫氏の公約や記者会見での様子などを比較。まずは小池氏の公約がパネルで紹介されると、和田は「これはもうこのまんま、全ていいことですよね。全てやっていただきたいことです」と絶賛し、毎日新聞論説委員の佐藤千矢子氏に「こういう公約はいくつあげてもいいんですか?」と質問。
佐藤氏が「いくつあげてもいいんですけど、当選した場合4年後に検証されますよね。実際にやったかどうか、言いっぱなしでは良くないってことですけども」と解説すると、和田は「でも、もう解消されてるのもありますよね?」と小池氏が8年前に公約として掲げた”7つのゼロ”は「言いっぱなし」ではないと指摘した。
さらに和田は「言うのは簡単ですよね、私たちも。でも、言っていただくと、期待を持つってところもあるじゃないですか」と小池氏の公約に期待を寄せ、出演者のカンニング竹山(53)に「詳しいんじゃないの?」と話題を振った。
すると竹山は「忘れたんですか! 3年前に小池さん語って大変なことになったことを!」と自虐を込めて“3年前の騒動”を蒸し返した。
「“3年前の騒動”とは、同番組で竹山さんが、小池都知事が出演したYouTube広告動画について『制作に4.7億円かかっている』と発言し、都がTBSと竹山さんの所属事務所に抗議文を送った件です。竹山さんが言う『4.7億円』とは、20年に緊急事態宣言が解除された5月から9月までに都が計上した広告費の総額で、動画制作費はその一部でした。
発言の数分後に事実誤認に気付いた竹山さんは、『4.7億円は、動画制作費ではなく、広告費全体の経費でした』と訂正し『すみません』と番組内で謝罪しましたが、翌日に都から抗議文が送られる事態となったのです」(テレビ関係者)
その上で、竹山は「まずは(小池氏の)8年間の総括を行わないまま、次の公約ってなってるから、そこも踏まえて考えていかないと」と指摘。さらに「東京都は財政がすごくあるから……」と発言を続けると、和田は「財政はあるけれど、小池都知事は47都道府県の(知事の)中では1番安い給料だって聞きましたけど」と発言。
これに対し、竹山は「給料は半額にしてますけど、退職金の問題とか色々出てますけど、そういうのもあるので、そのまま間に受けていいのかも精査して考えなければいけない」と疑問を呈す。
その後、蓮舫氏の公約もパネルで紹介され、佐藤氏が両者について、小池氏の会見が閉鎖的であること、蓮舫議員の公約は具体性に欠けることそれぞれ指摘。しかし和田は「言葉は悪いけど、いい風に言うのは何でもいえますよね? それと都民が安心するようなことは。別にこれは非難してるわけではないですよ?」と、蓮舫氏の公約について批判的なコメントを言い放つ。
一方で、佐藤氏が、小池氏のオンラインでの出馬会見の際、質問者は5人だけで、学歴詐称疑惑や神宮の再開発といった、小池氏にとって不都合な質問が出なかったことに対して疑問を投げかけたが、和田は「人と会うというのは重要なんですか? オンラインよりも」と尋ね、「質問されたくないというのもあるでしょうし、警備上の問題もあるかも分からない」と小池氏をフォロー。
続けて「素人目でいうと、小池さんは8年間やってきたので、ドッシリしている印象がある。蓮舫さんは、こう…頑張りが…すごいかな、という気が」と懐疑的な姿勢を見せる。さらに、反自民を掲げて出馬表明した蓮舫氏について佐藤氏が印象を述べていると、途中で和田が「攻撃的でしたよね」など蓮舫氏に対して終始批判的だった。
すると、竹山は「バランス取るために言いますけど」と前置きした上で、「都政のことってあんまり報道もされないから、この8年間、小池都政で何があったか、みなさんあまりよく分かってない」と話し出し、小池氏の答弁拒否が76%であること、記者会見が閉鎖的であることなどをあげた上で「おかしいんじゃないか」という人もたくさんいると説明。
「きみ、立候補したら?」と和田が茶化すも、竹山は「ちょっといま、小池さんの方になびいたから、気持ち悪いなと言ってる人もいると思うんで」と番組のバランスを考慮して軌道修正をしていた。
なんとか竹山がバランスを取っていたが、この一連のやり取りが注目されXでは一時「和田アキ子」がトレンド入り。小池知事に好意的だったいっぽうで蓮舫氏に批判的だった、和田については《露骨な小池擁護》《和田アキ子選挙期間中にそんなこと言ったの?》などと厳しい声も多く上がった。
放送法では告示後の選挙期間中において放送事業者には政治的公平が求められる。選挙期間中の生放送番組で番組MCが、1人の候補者に肩入れするようにもとれる発言を繰り返したことについて、TBSに見解を求めたところ、次のような回答があった。
「当該放送に対してさまざまなご意見があることは承知しております。これまで同様、毎週の番組制作に反映して参ります」
“ご意見番”はこの批判にどう耳を傾けるのか――。