6月末、テレビ好きの間に衝撃が走る報せが。お笑いコンビのオードリーとハライチがMCを務めるバラエティ番組『オドオド×ハラハラ』(フジテレビ系)が今秋に放送終了すると、一部スポーツ紙が報じたのだ。
超人気の2組に加え、『ゴッドタン』(テレビ東京系)や『トークサバイバー!』シリーズ(Netflix)といった超人気作品を手掛けるテレビプロデューサーの佐久間宣行氏(48)が演出とプロデュースを務めるという超強力布陣の同番組。
昨年6月に放送された特番はXでトレンド1位を獲得するなど大反響を呼び、同年10月に木曜20時枠ですぐさまレギュラー化するなど、トントン拍子で来たかに思えたが、わずか1年で終了が報じられることに。
まだ局側から正式発表はなされていないが、非常に多くのファンを抱える面々が揃った同番組にも関わらず、なぜ早々に終了することになったのか。同番組をウォッチしてきたというお笑い評論家のラリー遠田氏に話を聞いた。
「レギュラー開始当初は、俳優などに本人が言いそうにないことを芸人が考えて言わせるといった、お笑い要素の強い企画をやっていたイメージがありました。
しかし、最近は豪邸に行ってクイズを出す企画がメインになっていました。これはおそらく『テコ入れ』ですよね。数字が悪くなってきて、このままだと終わってしまうので、企画の方針を大きく変えて勝負するということだったのではないでしょうか。豪邸訪問の企画はほかの番組でもよく見られるようなものなので、コアなお笑い好きには批判されがちですが、番組がピンチのときには同じことを続けていても仕方がないので、苦肉の策だったのでしょう。それでも思うような結果が得られず、打ち切りになってしまったのでしょう」(以下、カッコ内はすべてラリー氏の発言)
自身がパーソナリティを務めるレギュラーラジオ番組を持ち、Xでは40万人弱のフォロワー数を抱えるなど、絶大な発信力を誇る佐久間氏だが、『オドハラ』では“異変”をみせていたという。
「佐久間さんは普段から本や映画などの自分が見て面白かった作品のことを、SNSやラジオで積極的に発信しています。自分が携わる番組についても『今回は特に面白かったのでおすすめです』といったことをよく書かれています。
そんな佐久間さんが、『オドハラ』に関しては最近はほとんどそうした発信をしてこなかったんです。あまり満足のいくものができなかったということなのかもしれません」
今のバラエティ界のオールスターともいえるメンバーが揃ったにも関わらず、番組が存続できなかった理由について、ラリー氏はこう分析する。
「面白くて数字が取れれば番組は続くものなので、そういう結果が出せなかったということに尽きます。番組開始当初にやっていたお笑い的な要素の強い企画に対して、お笑い好きは食いついていましたが、それ以外の一般的な層にはあまり受け入れられず、固定客をつかめなかったということなのかもしれません」
2組の名前を関した“冠番組ゆえの難しさ”もあるという。
「一般論として、バラエティには“企画先行型の番組”と”出演者先行型の番組”があります。たとえばクイズ番組は、クイズをやるという企画の大枠があった上で、司会者や回答者を誰にするか、どういうクイズを出すか、といったことを考えて番組を作っていきます。
いっぽう『オドハラ』は“オードリーとハライチで番組をやりましょう”というところから始まった出演者先行型の番組ではないかと思われます。出演者が先にあって、この人たちが何をやったら面白いのか、というふうに考えることになるので、ずっと新しい企画を考え続けなければいけないので、作る側の負担が大きいのです。
いろいろな企画を試していく中で、数字が取れたり評判のいい企画が見つかると、番組の軸ができて、回りやすくなる。出演者ありきで始まった番組は、ヒット企画が出るまで試行錯誤を繰り返すことになるので、視聴者が定着しにくいという難しさがあります」
そして、肝いりでスタートさせた大型番組でさえも1年で終わらさざるを得ないテレビ局の問題もあると、ラリー氏は指摘する。
「番組が育つのには時間がかかるので、結局はそこをテレビ局が耐えられるかどうかが大事だと思います。昔はテレビ局にも余裕があったので、“今は結果が出ていないけどもう少し育つのを待とう”と考えることがありました。でも、最近のテレビ局にはそういう余裕もないのでしょう。
テレビ自体の影響力が下がっているというのもあるし、バラエティというジャンルの難しさもあります。ドラマは見逃し配信などでもよく見られていて調子が良いのですが、バラエティは見逃し配信の視聴数も少なく、全体的に苦しい印象があります」
そんな“バラエティ冬の時代”を終わらせる国民的番組が現れる日はくるのか――。