「いちばんのエンターテナーは三谷幸喜さん」と語る戸塚純貴(撮影:谷口巧/PygmyCompany) 画像を見る

脚本と監督・三谷幸喜、主演・長澤まさみの注目映画『スオミの話をしよう』が9月13日に公開された。朝ドラ『虎に翼』の轟役が注目を集め、まさに今が旬といえる戸塚純貴も重要な役どころで出演。そんな戸塚の目に2人はどう映った?

 

「僕が演じた乙骨は、主人公のスオミ(長澤まさみ)の夫の寒川(坂東彌十郎)に非常に振り回される役で、登場人物のなかでいちばん若い。少し大げさに演じてみようと考えていたのですが、三谷さんに「キャラクターのなかで唯一、フラットに演じてください」と言われて、最初は少し意外だったんです。でも、それは物語の展開上、必要な演出だとわかり、絶妙なラインを模索しました。ぜひ、映画をご覧になってそこを見てほしいです。

 

僕自身、今、朝ドラ『虎に翼』などに出演させていただいていますが、正直、役者を始めたころとあまり変わっていなくて。何か展望を持って計画的に動ける性格でもありません。ただ、30を超えて、三谷さんのような方ともご縁がつながって仕事がどんどん楽しくなっているのは事実。いつか、僕主演の作品を三谷さんに演出していただけるとか、そんな夢みたいことが起きたらとワクワクしています(笑)」

 

「長澤さんが演じたスオミはさまざまな顔を持つ女性で、演技はもちろん、衣装を含めてまさに七変化。それぞれのキャラクターになりきる長澤さんの演技力は本当に素晴らしかったですね。とにかく、お奇麗だし、スタイルが抜群(笑)。

 

以前舞台に出演された長澤さんを見たときは、手の届かないようなオーラをお持ちだなと思ったのですが、今回、とても親しみを感じるお芝居をされていて。乙骨がスオミに近しいものを感じたように、僕に対しても、ちゃんと身近に感じられるお芝居をしてくださっているのがわかって、すごい方だなと思いました」

 

「今回、三谷さんの発案でクランクインの1カ月前から入念なリハーサルを行って本番に臨みました。そのリハは演劇の稽古さながらでしたが、三谷さんが演出の意図を全員が共有できるような環境づくりをしてくださるので、芝居はとてもやりやすかったです。

 

ただ、誰もが予期せぬ演出をするのが三谷さん。衝撃を受けたのが、台本で10ページ以上ある長尺のシーンの本番前日、『全部忘れてください』と言いだしたときです。時間をかけて作ってきたお芝居を直前になって全部変えるなんて! ともう頭のなかは真っ白。

 

でも、よくよく考えると、それは三谷さんがわざとやっている気がして。本番直前で突拍子のない演出をしたり、セリフを変えたりするのは、役者の芝居の新鮮味みたいなものを大切にされているからではないかなあと思って。そういう意味で、いちばんのエンターテイナーは三谷さんなんでしょうね」

 

映画『スオミの話をしよう』

著名な詩人である寒川の新妻スオミが行方不明となる。寒川の屋敷には続々とスオミの過去を知る男たちが集まり熱く語り始めるが、彼らの思い出のなかのスオミはまるで別人だった!

 

(ヘアメーク:小田桐由加里/スタイリスト:森 大海)

 

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