「石破さんが自民党総裁に選出された直後、株価が大幅に下落したことで“石破ショック”と呼ばれました。
しかし、石破首相が自前の政策をこのまま推し進めるのであれば、短期的には『円高・株安』の流れになりやすいでしょう」
こう話すのは、市場の動向に詳しい経済評論家の加谷珪一さんだ。
10月1日の臨時国会で第102代首相に選出され、その後に新内閣を発足した石破茂首相(67)。
前日9月30日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅下落し、終値は1千910円安の3万7千919円に。
円相場は1ドル143円台の取引となり、夏場までの円安から一転、「円高・株安」の様相なのだ。
「アベノミクス以後10年、日本は金融緩和策を取り続け、株価を上げて景気の上昇を見込んできました。
しかし結果、物価だけが上がって、国民の所得はほとんど増えませんでした」(加谷さん、以下同)
その一因は、アメリカと日本の「金利差」にあるという。
「アメリカは2022年に金融引き締め(金利を上げる方向)にシフトしましたが、日本は、金融緩和でマイナス金利やゼロ金利の政策を続けてきたため、日米で金利差が拡大しました。
するとアメリカドルが買われ、円は売られました。その『円安』で、日本企業の輸出売上が増え、株価も上がった。それで『円安・株高』状態になったのですが、その利益分だけでは思うような賃上げに結びつかなかったんです」
そんななか、就任した石破首相の政策は「金融引き締め」なのだという。
「石破さんは、ご自身の政策案としても利上げに積極的でした。
7月には一時1ドル160円台にまで円が下落しており、円の価値を維持するため日銀も金融引き締めをしたい状況でしたので今後は徐々に金利を上げていくでしょう。
すると円高となり、海外輸出が強みの日本企業の業績は悪化し、株安の傾向になると思われます」