ネットを中心に“机叩き動画”が批判を集めている兵庫県・相生市長の谷口芳紀氏(75)。炎上のきっかけは、前知事の斎藤元彦氏(47)が再選した11月17日投開票の兵庫県知事選だった。
パワハラ疑惑などを指摘する内部告発文書問題によって、県議会から不信任決議案を受けた斎藤氏。自動失職した後に出直し選挙に臨んだが、若者を中心にSNSで支持が拡大。序盤でリードしていた元尼崎市長・稲村和美氏(52)を猛追し、14万票近くの差で大逆転勝利した。
いっぽう選挙期間中には、斎藤氏に対抗する“反勢力”も出現した。
投開票まであと3日に迫った14日、兵庫県市長会の有志22名が稲村氏を支持する異例の声明を発表。同日に記者会見が行われたが、報道陣の前で谷口氏が見せた振る舞いに批判が噴出したのだ。
谷口氏は「悪いやつを兵庫県から追い出して、新しい風を入れる人は誰や言うたら、稲村や!」と声を荒げ、机をバンッとひと叩き。その上で「私は少なくとも、県知事として資格がないんじゃないかと」と斎藤氏を猛批判し、「こう思っておりますわ!」と再び机を叩いた。
ヒートアップした谷口氏は「何が悪い!」とまたも机を叩き、「以上です!」と締めくくっていた。あまりに大きな音だったためか、谷口氏の後ろに座っていた女性がビクっと肩を動かす場面もあった。
しかし、応援のはずが一連の言動を収めた映像は瞬く間に拡散し、Xやネットで批判が噴出。さらには、“稲村氏が敗退してしまった原因の一つ”だと指摘する声も多数上がっていた。
思わぬかたちで注目を浴びてしまったが、谷口氏は今年5月の相生市長選で6回連続の無投票当選を果たしたベテラン市長だ。しかし公の場で激昂した振る舞いを、市民たちはどう受け止めているのだろうか。
本誌が19日に相生市役所を問い合わせると、秘書広報係の担当者が「ネットに出ている通りですが、『なぜあのようなことをしたのか』といったお声をいただいております」と明かした。現在までに市役所に届いている“お叱りの声”は、「全体で200件ほど届いております」とのことだった。
また、「谷口氏本人は今回の件をどのように受け止めているか?」と尋ねると、担当者は「その辺りはまだ正確には確認できておりません」と返答。いっぽう「谷口氏は職員に対しても日頃から激昂することがあるか?」との質問には、「普段は(激昂するようなことは)一切ないんです」とのことだった。
担当者によれば日頃は“温厚な人柄”だといい、「私どももそう感じておりますし、他の職員もそう感じていると思います」とコメント。拡散した映像のように激昂することは「珍しい」といい、「ご自身の意見を伝える時に、強いかたちになってしまったのだと思います」とフォローしていた。
なお、18日に生配信されたYouTubeチャンネル『ReHacQ−リハック−』に登場した斎藤氏も、谷口氏について「すごい良い人です。ちょっとビックリしましたけどね」と語っていた。
谷口氏はなぜ“豹変”してしまったのか。自らの言葉で説明する日はやってくるだろうか、果たして――。