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今年もさまざまなドラマが放送され視聴者を魅了したが、12月も残りわずか。秋クールのドラマもあらかた最終回を迎えた。

 

昨年は流行語大賞も受賞した阿部サダヲ(55)主演の『不適切にもほどがある!』(TBS系)が大きな話題に。今年の夏も同じく阿部主演の『しあわせな結婚』(テレビ朝日)が好評で、阿部は“連勝”。秋ドラマでは『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)で、代役で主演を務めた竹内涼真(32)が“ハマり役”と話題を呼んだ。

 

そこで本誌はWEBアンケートツール「Freeasy」にて、ドラマ好きな20~70歳の男女500人を対象に「2025年のつまらなかったドラマ」についてアンケート調査を実施。アンケート結果を踏まえて、TVコラムニストの桧山珠美さんに解説してもらった。

 

第3位は、シリーズ5作品目となる『絶対零度~情報犯罪緊急捜査』(フジテレビ系)。

 

2010年から放送されている刑事ドラマシリーズで、シーズンによって主人公や担当部署が変わるのが特徴。今回のシーズン5は沢口靖子(60)が主演。トクリュウやSNSロマンス詐欺などタイムリーな情報犯罪をテーマに据えたが、最終回の世帯視聴率は5.2%(関東地区/ビデオリサーチ調べ。以下同)と振るわなかった。

 

《どうしても科捜研に見えてしまう》
《主役が沢口靖子さんなので、どうしても科捜研の番外編のような感じに見えてしまう》
《ちょっと無理があったなあ。 60代の沢口さんでは、設定的に厳しい。 沢口さんが、若いころから主演しているのならいけたけども》
《今までの絶対零度から、離れた感じがしたから》

 

「みなさんご指摘の通り、沢口靖子さんといえば、やっぱり『科捜研の女』(テレビ朝日系)のイメージが強いですよね。一方で『絶対零度』にも、初代は上戸彩さん(40)、次が沢村一樹さん(58)と今までの世界観があります。今回その2つの刑事モノが融合してしまい、違和感を抱く視聴者が多かったのだと思います。

 

また、沢口さんが走らされたりアクションをさせられているのも、無理をしている感じがしたり、警察の情報犯罪の最先端部署なのに、調査官の黒島結菜さん(28)がキーボードを“カチャカチャターン!”と弾くだけで、テクノロジーの演出が昔の『仮面ライダー』みたいだったり(笑)。

 

せっかく時代を反映したテーマだったのに、風呂敷を広げるだけ広げて最後はツッコミどころ満載の終わり方。今までの『絶対零度』をすべて台無しにするぐらいのシリーズになったのかなというぐらい。20年以上前に大ヒットした『24』を改悪した再放送でも見ているような気分になりました」(桧山さん)

 

第2位は、江戸のメディア王・蔦重こと蔦屋重三郎の生涯を描いた大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。

 

吉原の貸本屋から出版王に成り上がり、喜多川歌麿や東洲斎写楽らを見出した横浜流星(29)演じる蔦屋重三郎の波乱の物語。先日、本誌がおこなった「2025年の面白かったドラマ」ランキングでは6位と上位に入っており、評価が割れているようだ。期間平均の世帯視聴率は9.5%で、歴代大河ドラマでは2019年放送の『いだてん~東京オリムピック噺~』の8.2%に次ぐワースト2位となってしまった。

 

《題材となる主人公が地味すぎる 横浜流星の演技は二重丸》
《大河らしい華をあまり感じられなかったから》
《主役が有名人ではなかったので、内容がよくわからなかった。最初の頃で見るのをやめてしまった》
《吉原が入りすぎた。良くない》

 

「江戸の出版カルチャーが描かれているので、メディア関係者などには好評で、個人的にも大河の中で5本の指に入るくらい面白かったです。知られざる偉大な“庶民”の人生が巧みに描かれていて、“新しい大河”としてとてもよかったです。

 

しかし、大河ドラマには戦国や幕末などの派手なドラマを求めている人も一定数います。わかりやすい合戦もなく、蔦重の知名度も低かったことが低評価の一因となってしまったのでしょう。ミステリーなど殺人の伏線は好きな人が多いですが、歴史や人間の機微みたいなロングスパンの伏線は苦手に感じる人が多いようにも思います。

 

また、第1話で全裸の遊女が打ち捨てられるシーンが衝撃でした。作品への覚悟を感じた一方で、家族で見るのが気まずくなったファミリー層が離脱したのは痛手だったかもしれませんね」(桧山さん)

 

そして残念ながら第1位に選ばれてしまったのは、三谷幸喜(64)が民放ゴールデンの連ドラでは25年ぶりに手がけた『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)。

 

1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷の若き日の思い出を題材にした完全オリジナルストーリー。主演は菅田将暉(32)、ヒロインに二階堂ふみ(31)、若き日の三谷をモデルにした放送作家役に神木隆之介(32)、浜辺美波(25)など、豪華キャストが顔を揃えたことでも話題を呼んだ。

 

だが、初回から低視聴率に苦しんだ。30分拡大して90分だった第1話の世帯視聴率5.4%を皮切りに視聴率は徐々に低迷。同じく90分に拡大した最終話の世帯視聴率は2.9%と撃沈した。

 

《キャストも凄いし三谷幸喜だしで期待し過ぎかもしれないけど、期待はずれだったし、主演の菅田将暉の大きな声で単調に喋る演技が感情を感じられなくて舞台の演技みたいで残念だった。 ドラマは好きで他も殆ど見てるけどほんとに残念》
《三谷幸喜さんなので期待したが要点がよくわからなかったので退屈したので》
《時代背景などが共感できなかった》
《主演クラスの俳優さんが、たくさん出ていて期待していたが 毎回グタグタで何を見せられているの?と思うドラマでした 菅田くんの無駄使いとも思ってしまいました》

 

「演劇とか1984年の渋谷の雰囲気を知っている人は好きな世界だと思いますが、アンケートで寄せられたコメントにもあるようにピンと来なかった人も多かったのでしょう。また、同作の放送直前に1995年放送の三谷作品『王様のレストラン』が再放送されていて評判が良かったんです。そのイメージで見た人は特にギャップにガッカリしたかもしれません。

 

また、菅田将暉さんは才能のある熱い演劇青年ですが、嫌われて劇団を追い出されるところから物語は始まります。菅田さんが役に忠実に演じすぎたので、ギャンギャンうるさくて暑苦しい(笑)。『じゃあ、あんたが作ってみろよ』の竹内涼真さんが初回のうちに“どこか憎めないヤツ”とイメージを回復したのに対し、菅田さんは共感できないキャラクターのまま第1話を終えてしまったのも敗因かもしれません」(桧山さん)

 

コメントや右肩下がりの視聴率が、第1話で離脱して戻って来なかった視聴者の多さを物語っている。

 

「初回でいろんな出演者の登場人物の紹介じゃないけど、バラバラと詰め込みすぎてわかりにくかったというのもあると思います。また、蜷川幸雄さんや井上ひさしさんなど実在の人物も登場しますが、演劇好きな人ではなく普通にテレビを観る層で元ネタがわかる人がどれほどいるか……。観る人を選ぶドラマではありましたね。

 

また、初回の“つまらない”という評価により、視聴率は上がらず、最後まで挽回できませんでした。娯楽作品が溢れる現代で、“最後まで見てもらえればわかる”みたいな感覚は通用しないことを見抜けなかったのが三谷さんの最大の敗因かもしれません。

 

軽い気持ちでテレビドラマを観ようと思ってる人には合わなかった作品なのかなと思いますし、もっと視聴者を巻き込んで観てもらう工夫をしたほうがよかったかもしれません。とはいえ、私は面白かったです。たとえば、配信でまとめて見ることで、また違った評価を受ける可能性があることが一途の望みかなと思っています」(桧山さん)

 

2026年のドラマにも乞うご期待!

 

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出典元:

WEB女性自身

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