衆院選の投票日(2月8日)が迫る中、波紋を広げているのが、高市早苗首相(64)の“円安ホクホク”発言だ。高市氏は1月31日、神奈川・川崎で自民党候補の応援に入り、大勢の聴衆の前でこう述べた。
「いま、円安だから悪いと言われるけれども輸出産業にとっては大チャンス。食べ物を売るにも、自動車産業にもアメリカの関税があったけれど、円安がバッファーになった。ものすごく助かりました。円安でもっと助かっているのが、外為特会の運用。いま“ホクホク”状態です」
これまでも“埋蔵金”などと注目を集めてきた「外為特会」(外国為替資金特別会計)。本来は為替介入の原資として運用されているものだが、一部では“余剰金を消費税減税の財源として活用する”としている政党もある。この運用益が“ホクホク”と胸を張る高市氏だが、演説での発言は各メディアで“円安容認”と報じられ、波紋を広げていた。
高市氏は1日、Xで《昨日の個人演説会での私の為替に関する発言について、一部報道機関で誤解があるようです。私は、円高と円安のどちらが良くてどちらが悪いということはなく、「為替変動にも強い経済構造を作りたい」との趣旨で申し上げました。つまり、日本の「供給力」を強くするための国内投資の必要性を述べました》と釈明。輸入物価上昇など円安のマイナス側面も合わせて示し、海外に向けて英文でも同様の釈明を綴った。
ただ、高市氏の発言の余波はおさまらなかった。2日、大手メガバンクであるみずほ銀行が《高市演説を受けて~危うい現状認識~』と題したレポートを公表し、4ページにわたって演説における問題を指摘したのだ。
レポートでは、高市氏が「円安がバッファーになった」と発言したことについて《選挙期間中に、円安で生活が苦しくなる市井の人々がこの主張をどう受け止めるかは別だが、大きく批判されるほど誤った指摘でもあるまい》と評価。さらに《円安容認だったかどうかは本質的な話ではない》としつつ、むしろ、円安によって国内投資が活発化し、「為替にびくともしない経済構造」が作られるという、高市氏の《前時代的な発想》に問題があると指摘した。
そのほか、“ホクホク”状態の外為特会については、ドル売りのため原資であるであるとし、《「ドル換算でいくら保有しているか」が重要な要素になるのであり、「円換算で見れば大きい」という話は意味を持たない》と指摘。《円安も進行している。今後、直面する値幅とスピード次第では保有資産の大規模な売却を強いられる淵に立たされている事実こそ、今、懸念すべき話だ》と警鐘を鳴らした。
このレポートは、高市氏へのけん制として大きな注目を集め、LINEヤフーの川邊健太郎会長(51)は3日にXで《経済は複雑なので、これが必ず正しい!というわけではないですが、経済界、金融界がこのような懸念を持っている、というのは選挙のと参考になるのではないかと思います》(原文ママ)と講評した。
すると、“ひろゆき”こと実業家の西村博之氏(49)は、4日に川邊氏の投稿を引用リポストし、レポートを《選挙期間中に、みずほ銀行エコノミストが首相発言を非難という特異な事象》と評しつつ、こう漏らした。
《「日本の未来の為に円安容認を止めなければならない」という覚悟の結果だと思うが、長い文章を読めない人達が円安容認を支えている。「これは、ダメかも分からんね」》
とはいえ、高市氏にとってレポートは耳の痛い話ではなかったようだ。5日、佐賀で行った演説では、高らかにこう訴えていた。
「(潜在成長率が)G7と比べて低いのはなぜか。国内投資の不足。これです。だから海外に投資するのではなくて、国内に投資してもらう。企業任せにはしません。国内に投資してもらう環境を作っていく。まだまだ日本成長できますよ。今までは諦め思考だったでしょう。だから初めて自民党の公約に責任ある積極財政という言葉を出しました。これを審判していただきたいんです」
はたして高市氏の政策で、日本経済が再び日の目を見ることはできるのだろうか。
