20の都道府県で展開されている電動キックボードシェアサービス「LUUP」(写真:時事通信) 画像を見る

20の都道府県で展開されている電動キックボードシェアサービス「LUUP」。’20年のサービス提供開始から、破竹の勢いでシェアを拡大し、今やすっかり移動手段の一つとして定着した。

 

認知拡大のためにPR活動にも力を入れている運営元のLuup社だが、同社の広報の動きが波紋を呼んでいる。

 

発端となったのは、元テレビ東京の記者で現在はPR戦略コンサルタントの下矢一良氏が、1月26日にX上で行った次の投稿。

 

《Luup広報より私の新刊でLuupに触れた箇所に対し、出版社に「内容を修正しない場合、法的措置をとる」という趣旨の通告があったと聞きました》

 

下矢氏は続けて、自身の見解を次のように綴った。

 

《監査役には元警視総監、調達額214億円、役員の配偶者は自民党国会議員。私のような零細事業者とは比べるまでもない、巨大な存在です。ですが、私も元記者としての矜持がありますし、修正すべき点があるとは考えておりません。「一寸の虫にも五分の魂」。微力ながら、精一杯抗いたいと考えています。正直、あまりに巨大な相手にビビっていますが》

 

Luup社が問題としたのは、’25年7月2日に出版された下矢氏の著書『ずるいPR術』(すばる舎)での一節。下矢氏はLUUPがなぜSNSで批判を浴びるのかを専門家の視点で考察。LUUPにまつわる箇所は同書のほんの一部で、当該箇所は『東洋経済オンライン』で同日に配信された記事でも転載されていた。

 

続く30日の下矢氏の投稿によると、内容へのクレームはこれが初めてではなく、実は半年前にも同社の広報責任者から修正の要求があったという。その際は《事実確認で多少甘い点があったのと、出版社に迷惑かけたくなかったのと、私自身、あまりに強大な相手に日和って、要求に応じてしまいました》といい、《半年後、またも別の点で同様の要求があったので、今回はさすがに立たざるを得なかったです》と、”告発”の意図を明かした。

 

確かに、『東洋経済オンライン』の当該記事内には下記のように、記事公開翌日の7月3日に、一部内容を修正したことが明記されている。

 

《【2025年7月3日14時35分追記】初出時、水道メーターボックスの上にLuup社がポートを設置してしまった際の対応について、あとからゴムシートを敷いてその場しのぎの対応をした旨の記述がありましたが、一部の内容に事実誤認がありましたので、該当箇所の表記を削除いたしました》

 

なぜ、半年前に修正対応が終わっているにもかかわらず、Luup社は再度クレームを入れたのだろうか。

 

そこで、Luup社に”修正を求める理由”や”修正を求めている具体的な箇所”などについて質問したところ、1月30日に次のような回答が寄せられた。

 

《対象の記事(※編集部注:原文では『東洋経済オンライン』のURLが記載)については、媒体社様より、記事内で言及されている書籍の出版社へ問い合わせてほしい旨を伺ったため、当該出版社に対し事実関係の確認および記事内容の修正を依頼し、既にご対応をいただいております。本件に関しましては、これ以上の修正は行わない旨の連絡を出版社様よりいただいております。弊社といたしましても、追加の対応を取る予定はございません》

 

しかし、この「既にご対応をいただいております」や「本件」という表現は、昨年7月の対応を指すのか、現在進行形の別のトラブルを指すのかが不明瞭であり、後者の場合、下矢氏の主張と真っ向から食い違う。そこで時系列の確認をしつつ再度詳細を質すと、2月2日に同社から一転して次の回答が寄せられた。

 

《(1)記事修正の経緯について

ご指摘の経緯はご認識の通りですが、2025年7月3日時点ですでに記事の訂正が行われていた事実に気が付かず、2026年1月に弊社から改めて出版社様に記事の訂正依頼のご連絡を行いました。その結果として、出版社様よりこれ以上の訂正はしないという回答を受け取り、弊社としてこれ以上の要請は行わずご意向を拝受する旨を回答させて頂いております》

 

《(2)「本件」の指す内容について

「本件」とは、一連の全体を指しております。出版社様よりこれ以上の記事の訂正は行わないとご連絡いただいており、弊社としてもそのご判断を尊重し、これ以上の要請を行う意思はございません。

昨年7月から本年1月の会話における今回のご相談は出版方針に関する要望や法的措置等を前提としたものではなく、法的措置に関する通告をした事実はございません。

しかしながら、すでに記事の訂正が行われていた事実に気づかず、改めて訂正の依頼を行ってしまったことにより、関係者の皆様に不快な思いをおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。真摯に反省し、今後の対応に活かしてまいりたいと考えております》

 

要請した修正対応が完了していたことに気づかず、半年後に改めて要請するという“ミス”をおかしたことを認めつつ、下矢氏が告発した“法的措置”については否定した。

 

そこで、下矢氏にLUUPからの回答について見解を聞いた。

 

「LUUP側は紳士的な相談であったかのように説明していますが、実態は全く異なります。出版社が受けた最初の電話で『削除に応じない場合は別段の措置を進める』という、強い語気を伴う通告があったそうです。私が直接聞いたわけではありませんし、録音などもないので証拠こそ出せませんが、編集者とのチャットにはそのやり取りが記録されています」

 

また、「失念して再依頼した」との釈明にも不信感を募らせる。

 

「昨年7月と今年1月に連絡してきた広報の担当者は同一人物です。個人の記憶のことは本人にしかわからないとはいえ、一度修正に応じさせた経緯を忘れるのは極めて不自然です。1月に再度削除要請が来た際は『半年も経って、再びなぜ?』と戸惑いましたが、おそらく7月の最初の修正にすぐに応じたことから『何を言っても、すぐに屈する相手』と思われたのだろうとは思いました。私が小規模な個人事業者だからこそ、甘く見られたのだと感じます」

 

昨年7月に修正対応を拒否したにもかかわらず、LUUPが1月に再び修正を求めたのは、電動キックボードのシェアリングサービスに対する規制強化の動きについて、パリとスペインの例をあげて《日本の動きは、こうした世界の潮流に明らかに逆行している》と指摘した箇所だという。

 

「LUUP側は、世界の潮流という表現は『誇大』『偏向』などと主張しましたが、パリやマドリードだけでなく、メルボルン、イタリア、韓国、シンガポールなど、安全確保のために規制を厳格化する動きは明確に存在します。なので、ここは昨年も今回も修正対応は拒否しています。

 

私は規制緩和に決して否定的ではありませんが、人命や安全に関しては慎重に慎重を期すべきではないかと思っています。自動車の安全性能の向上や飲酒運転の厳罰化と比べ、電動キックボードの規制緩和はあまりに拙速ではないかと考えています。今回の一連の発信でそうした問題提起にもつながればと思っています」

 

役員陣に元警視総監と現職自民党議員の配偶者など錚々たる顔ぶれがいるLuup社だが、臆せず今回SNS上で“告発”し、戦っている理由について下矢氏は次のように話す。

 

「文春のような大手メディアに批判的な記事には沈黙し、私のような個人や小規模事業者にだけ圧力をかける。これを看過すれば、他に多くの被害者が出るので立ち上がるしかないと思いました。

 

私の本はSNS時代の広報ノウハウを説いたものですが、今回のLUUPの振る舞いは、期せずして、私が本で解説した内容が正しかったことが証明された格好かと思っています」

 

Luup社側は2月2日の本誌への回答で「追加の対応を取る予定はない」としていたが、下矢氏によれば6日、Luup社の岡井大輝代表取締役社長からすばる舎に対し、正式に謝罪があったといい、同社も謝罪を受け入れ、下矢氏から人を介して「私への謝罪も含まれると考えてよいか」と岡井社長に確認したところ、「含まれる」との回答も得たという。

 

出典元:

WEB女性自身

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