「桑田(佳祐)さん(70)が監督された『稲村ジェーン』の撮影中に18歳を迎えました。『真夏の果実』はその主題歌で、試写で初めて作品を観て、この曲が流れてきたとき、感動から震えがとまらなかったのを覚えています」
『稲村ジェーン』でヒロインを務めた女優の清水美砂さん(55)は、NHKの連続テレビ小説『青春家族』の撮影終了の翌日に、同映画のオーディションを受けたそう。
「面接で初めて桑田さんにお会いしたときに、まず『美砂は本名ですか?』と、聞かれたんです」
ヒロインの名前は波子だった。
「美砂は、鳥取砂丘をイメージして命名された、清い水に美しい砂。監督はきっと、私の名と、海、波、砂など作品のテーマとのご縁を感じてくださったんでしょうね」
桑田は“清水美砂”を抜擢。18歳の清水さんは、撮影中に桑田から言われていたことがあるという。
「つねに『色っぽくね』と、言われていました。しゃべり方、髪をかきあげる仕草などを、ゆっくりにしたり工夫しました(苦笑)」
桑田の努力も目の当たりにした。
「毎日、夜遅くても、目を真っ赤にしながら、翌日に撮影するシーンの絵コンテを描かれていて。さらに、その場面で使う音楽も、カセットテープに入れて、私たちに配ってくださったんです。
世にも出ていない曲を、撮影の合間や、移動中も、ウォークマンで聴き続けて、波子のイメージを作り上げました。撮影中に曲がすでにあるなんて、この映画だけ。監督をはじめみんなで映画を作り上げていくのを実感して、毎朝、桑田組の撮影にいくのが楽しくてしかたなかった」
主題歌の『真夏の果実』は、劇中と映画のラストに、海辺にひとり佇む清水さんのバックで流れる。
「桑田さんが作られた映画の中に、私が入っていることが信じられなくて。この曲の歌詞にあるように夢の中に連れていかれたようでした。今も、あの夏、私は夢のお話の中にいたのではないかと思い出すんです」
清水さんは、1998年に、アメリカ人の男性と結婚。2人の子の母になり2005年から2010年まで、ご主人の赴任により逗子で暮らした。
「結婚前のデートの車の中でも、『真夏の果実』を聴きました。逗子時代には、子どもたちと車を走らせて、茅ヶ崎や、劇中の舞台になったカフェの前も通りました。『真夏の果実』は、誰しもが、自分の人生と重なり、喜びや悲しみが湧き上がる曲ですよね。
私にとっても、震えるような夏を感じさせてもらい、女優・清水美砂を育ててくれた大切な青春の1ページを彩る曲です。今も、撮影した夏の潮風、夕焼けの切なさ、ビーチを歩く肌の感覚、人恋しさが、よみがえります」
『真夏の果実』は、清水さんをはじめ多くの人の心を切なく、アツくさせている。
画像ページ >【写真あり】’87年、映画『湘南爆走族』のヒロインでデビューした清水美砂(他2枚)
