「昨年、藤村志保さんが亡くなったとき、お別れ会で『温泉へ行こう』のメンバーも集まりましたが、主役の貴ちゃん(加藤貴子)が『ミー(矢部美穂)はムードメーカーだから、絶対に来てね』って言ってくれて。27年前の作品だけど、いまだに出演者同士の関係性は変わっていないんですね」
こう語るのは矢部美穂さん(49)だ。同作品が始まったころの仕事は、グラビア撮影やバラエティ番組出演が中心だった。
「ドラマの経験はほとんどありませんでした。16~17歳くらいのときに学園ドラマに挑戦しましたが、超下手くそでいまだに恥ずかしくて見られないほど。お芝居の基礎を習っていないのに、舞台役者さんなどのベテランが多い作品に出演するのは、怖いもの知らずだからできたんでしょうね。今ならお断りしています」
撮影開始当初は、戸惑いばかりだった。
「漢字が読めない(笑)。台本の読み合わせで“大人気ない”を“だいにんきない”と堂々と読んでしまって、めっちゃ笑われました」
旅館の仲居役で、配膳室での乱闘が定番のシーンだった。
「今では考えられませんが、お料理をバンバン投げ合って、最後、小麦粉で粉まみれになるのがお決まり。なかなかやり直しがきかないシーンですが、投げつけた食べ物が、顔のど真ん中にヒットしなかったら、顔のメイクだけし直して、もうワンテイク撮ったりしていました」
撮影中は家に帰る暇がなく、ビジネスホテルに泊まり込むこともあった。
「下着はいつもホテルの部屋で洗っていたのですが、チェックアウト後、部屋に忘れてしまったことがあったんです。フロントで『パンツ忘れちゃったんです』って相談したとき、たまたま貴ちゃんとあめく(みちこ)さんが通りがかって『よく無邪気にパンツ忘れたって言えるよね(笑)』と驚かれました。私はグラビアをやってたから、あまり恥ずかしく感じなかったんですね」
作品は第5シリーズまで続くほどの人気を博した。
「あとでプロデューサーから聞いた話ですが、どうやら昼ドラの視聴率が低迷していて、もし視聴率が悪かったら、スポンサーが降りる可能性もあったみたいです」
5年に及ぶ撮影期間があったため、終了時には寂しさがあった。
「中学時代にいじめられていて友達がいなかった私にとって、同ドラマで絆が強まった仲間ができたのが、なによりの財産です」
『温泉へ行こう』(TBS系、1999~2005年)
温泉旅館を舞台にした昼の帯ドラマ。大手銀行に勤めていた椎名薫(加藤貴子)が、幼いころに生き別れた母が営む老舗温泉旅館の女将になって奮闘する。コミカルでテンポよく進む展開で人気を博し、昼ドラとしては異例の第5シリーズまで続くヒット作に!
【PROFILE】
やべ・みほ
1977年生まれ、北海道出身。雑誌『Momoco』をきっかけに芸能界デビュー。『坪田充史のネクストイノベーション』(ラジオ日本ほか)に出演中。
画像ページ >【写真あり】お別れの会に『温泉へ行こう』メンバーが集まった大河ドラマナレーションも務めた大女優(他1枚)
