「平和を愛する日本の人たちは、米国の犯罪について、日本政府に説明責任を問うべきだ」
8月29日、イランのアラグチ外相が共同通信の取材にこう訴えた。米軍三沢基地(青森県)のF16戦闘機が、対イラン作戦のため中東に展開していたと報じられたことを受けての発言だった。
実際、報道によれば、在日米軍から対イラン作戦に投入された戦力は、三沢基地のF16だけではなかった。沖縄の海兵隊部隊なども中東へ派遣されたほか、横須賀基地を母港とする米海軍の艦船も作戦に加わっている。
中東では、米軍基地に対するイランの報復攻撃が相次いでいる。では、日本国内の米軍基地が攻撃されるリスクはないのか――。
安全保障問題に詳しいジャーナリストの布施祐仁氏に聞いた。
「アメリカがどこかの国と戦争をして、その作戦のために日本の基地が使われた場合、日本は戦争に対して中立的な立場ではいられなくなります。国際法上もそうです。いま中東の湾岸諸国にある米軍基地が攻撃を受けているように、日本国内の米軍基地も攻撃を受け、その戦争に巻き込まれるリスクを負うことになります」
■なぜ「事前協議」が行われないのか
ならば、米軍が日本国内の基地から他国への攻撃に向かうことを、日本政府は止められないのだろうか。
「1960年の日米安保条約締結時に交わされた交換公文では、日本が直接攻撃を受けた“日本有事”以外の事態で、米軍が日本の領域から日本の外に向かって戦闘作戦行動を行う場合、日米間の“事前協議”が必要とされています」
ところが今回、事前協議は行われていないという。それには、こんなロジックがある。
「日本から戦闘機が飛び立ち、そのまま他国を空爆すれば、日本からの戦闘作戦行動になります。しかし、いったん別の基地に着陸し、そこから攻撃に向かった場合、日本からそこまでの飛行は単なる“移動”と解釈され、事前協議の対象外とされているんです。今回のF16についても、日本政府はそのように説明しています」
だが、それはあくまで日米間の“理屈”だ、と布施さんは指摘する。
「どこかの基地に一度立ち寄ったかどうかなんて、攻撃される相手国からすれば関係のない話です。相手から見れば、日本の基地から出てきた米軍が自分たちを攻撃している。だったら『日本にある米軍基地を我々も攻撃する』となる可能性があるわけです」
もっとも、イランは日本から地理的に遠いため、現時点で日本国内の基地が攻撃される可能性は低いという。
しかし、これが台湾海峡や朝鮮半島など日本周辺での戦争なら、状況は大きく変わる。
「北朝鮮も中国も、日本を射程圏内に収めるミサイルを持っています。日本の基地から米軍が出撃すれば、自衛隊がどう動くかに関係なく、日本国内の米軍基地が攻撃を受ける可能性は極めて高いでしょう」
