内閣改造で去就が注目される鈴木憲和農林水産大臣(写真:共同通信) 画像を見る

高市早苗首相(65)が9月中旬にも断行すると見られる内閣改造。閣僚人事の去就が注目されるなか、激しいうねりの渦中にあるのが鈴木憲和農林水産大臣(44)だ。前任者である小泉進次郎氏(45)のあとを継ぎ、真摯に農政へ向き合う姿には「親しみやすい」「真面目」と一定の評価が集まった。

 

しかし、足元では米の需給緩和と価格下落が生産現場を揺さぶっている。

 

高市首相が物価高対策として米価抑制(消費者の生活防衛)を重視し、備蓄米の買い戻しに慎重な姿勢を見せたことで、官邸と農水省の間には温度差があるとの見方も出ている。

 

9月1日にようやく21万トンの買い戻し方針が表明されたものの、現場ではなお遅すぎるとの受け止めが広がる。2026年産新米の概算金(JAなどが支払う農家への前払い金)は、産地によって大きく下がる局面を迎えている。

 

争点は、消費者向けの米価抑制を優先するのか、それとも生産者が再生産できる価格水準を守るのかという点にある。鈴木農相への評価も、この二つの間で揺れている。

 

こうした永田町の迷走を、実際に米を作る生産者はどう見ているのか。各地の女性コメ生産者に本音を聞いた。

 

■「言われてからでは遅い」物足りないスピード感

 

茨城県のコメ生産者の女性は、鈴木農相の人間性には理解を示しつつも、その対応力には厳しい視線を向ける。

 

「進次郎さんと比べるとパフォーマンス的ではなく、真摯に黙々とやらなければいけない仕事をこなしている印象。でも、慎重派すぎて大胆な政策転換が見えない。世の中の風に乗っかるようにして備蓄米を大量放出し、市場をジャブジャブ(過剰供給)にしておきながら、買い戻しの時期や条件を明確に示さなかった。後手後手に回っています。

 

また、肥料や燃料だけでなく、農機具(コンバインやトラクターなど)や部品代の負担も重くなっています。食料システム法に基づく米のコスト指標は玄米60kgあたり約2万円とされる一方、足元の概算金は産地によって1万7000円前後にとどまっているところも。これでは、作れば作るほど赤字になります」

 

また、宮城県の女性コメ生産者もこう語る。

 

「鈴木さんは現場をよく見回ってくれています。でも、見回るだけで具体的なスピード感をもって反映してくれなければ意味がない。『高市首相との間に隙間風が吹いているからやりたい政策ができない』のだとしても、遅すぎる。私たちは政府の言葉を半分しか信じられなくなっています」

 

■小泉進次郎氏の「負の遺産」と鈴木農相の「責任」

 

岡山県でコメを生産している女性は、現在の米価下落と混乱の根底には、前農相である小泉進次郎氏の強引な政策運営があったと見る。

 

「今の危機的状況を招く大きな波を作ったのは、当時の石破首相の指示を受けた小泉さんだと感じています。備蓄米を大量に放出したことで、市場の見通しが一気に読みにくくなった。確かに小泉さんには大胆さがありましたが、方向性が間違っていた。でも、それを引き継いだ鈴木大臣が、その尻拭いを大胆にやってくれないと解決しないんです」

 

彼女によれば、市場では早くも古米と新米の価格が逆転する例があるなど混乱が生じており、概算金の下落を受けて離農を口にする農家も出ているという。

 

「鈴木大臣はテレビなどで『需要と供給に任せる』といった発言をされますが、それは無責任に聞こえてしまいます。そもそも市場を壊したのは政府の急な介入だったはず。現場に寄り添うと言うなら、小泉さんがやったのと同じくらい大胆に、農家が安心して作付けを続けられる補償や支援策を打ち出さなければ意味がありません。今の鈴木大臣の言葉には力強さがなく、逃げているように見えてしまいます」(岡山県の女性コメ生産者)

 

■求められるのは「人気」ではなく「覚悟」

 

小泉前農相のような派手なアピールはないものの、人柄のよさと農政への理解で「親しみやすさ」を勝ち取っていた鈴木農相。しかし、高市首相をはじめとする官邸への遠慮から後手に回り、結果として生産現場に大打撃を与える格好となった。

 

「持続可能な農業を維持するためには、単に『話を聞いてくれる優しい大臣』ではなく、官邸や世論の批判を押し切ってでも現場を守る『強い突破力』でしょう」(宮城県の女性コメ生産者)

 

高市首相との距離感に揺れ、有効な手を打てなかった鈴木農相に対し、女性生産者たちが求めたのは、パフォーマンスでも優しさでもない??日本の「食」を守るための冷静で迅速な政策遂行能力だった。

 

今後の内閣改造で誰が農相の椅子に就こうとも、現場の声を十分にくみ取れない政策が続けば、日本の米作りは一段と厳しい局面を迎えることになる。

 

画像ページ >【写真あり】千葉豪雨による農業関連被害の現場を視察する鈴木農相(他2枚)

出典元:

WEB女性自身

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