9月10日、都内で開催された「令和7年度第2回官民合同テロ・誘拐対策実地訓練(国内)」。外務省と民間企業、団体が合同で主催し、参加者がテロや無差別攻撃などのリスクから身を守るべく知識や技能を習得する訓練なのだが、現在、その訓練の様子がSNSで波紋を広げている。
この日は、訓練に先がけて、テロや自然災害など、国外で発生した危険情報を配信する外務省の登録制サービス「たびレジ」の広報動画の公開が行なわれた。外務省の報道発表によると、その後に行われた訓練には政府、日本企業・団体から計55人が参加した。
訓練の内容は、危機管理会社によるテロ・誘拐に関する講議のほか、爆発・銃撃遭遇時やテロリスト襲撃時の対処法の実技、応急処置等のフィールド型の訓練など、かなり実践的なもの。先述の報道発表で公開された当日の写真では、テロリストに命令されたケースを想定しているのか、着座して両手を上げる参加者の姿が確認できる。
そんななか、この訓練をめぐってテロリスト役の“服装”が一部で問題視されている。
というのも、テロリスト役は口元を黒の布で覆い隠し、頭には千鳥格子のような柄の茶色い布を巻いているのだが、これは「クーフィーヤ」と呼ばれるアラブ諸国の男性が身につける伝統的なスカーフだと見られるもの。
そのため、Xでは、テロリスト役に特定の地域を想起させる服装をさせることが、差別や偏見の助長につながりかねないとして、以下のような批判が続出した。
《中東・北アフリカの伝統衣装であるクーフィーヤを、このような防犯訓練の犯人役に用いることは、その文化や国家に対する侮辱です。日本外務省による差別行為に強く抗議します》
《テロリスト役に特定の民族や国を思わせる衣装ってどうなん?》
《クーフィーヤを巻いたテロリスト役。あまりにもステレオタイプ丸出し。これがヤバいと思えない人たちに外交なんて務まるのだろうか?》
《テロリスト役に特定の地域を想起させる格好をさせるのは差別に繋がります》
なお、外務省によると、官民合同テロ・誘拐対策実地訓練は、’16年にバングラデシュで発生した「ダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件」の教訓を踏まえて、’18年から日本国内における訓練を実施しているという。ダッカの襲撃事件は、イスラム過激派組織「ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)」から派生した「ネオJMB」が実行したとされ(外務省)、日本人7人が犠牲となっている。
とはいえ、一体なぜ服装にクーフィーヤを使ったのか。14日、外務省に見解を問い合わせたところ、15日午後4時過ぎに外務省の公式Xを更新。《今回の訓練における犯人役については、日本人及び外国人で構成される等、その衣装を含め特定の民族や地域、宗教等を念頭に置いたものではありません。誤解が生じたとすれば全く本意ではありませんので、関連の写真を削除することといたします》と批判を受け、当該写真を削除したことを報告した。
その上で、《「官民合同テロ・誘拐対策実施訓練(国内)」については、緊急事態発生時における官と民の連携強化を目的に、平成28(2016)年7月のダッカ襲撃テロ事件の教訓を踏まえ、中堅・中小企業関係者を主な対象として平成30(2018)年から国内における訓練を、毎年実施しているものです。海外に渡航・滞在する邦人への脅威が多様化する中で、当該訓練の意義は益々重要になっているものと認識しており、先般当該訓練を実施したものです。 海外邦人の保護は外務省の最重要責務の一つであり、今後とも引き続き全力を尽くして参ります。》と今後について説明していた。
いっぽうで、なぜクーフィーヤを着用したかについての説明はなく、今回の投稿に疑問を寄せるリプライも多数寄せられていた。
画像ページ >【写真あり】「差別を助長する」アラブの伝統スカーフを着用するテロリスト役の写真(他1枚)
