「今回の天皇皇后両陛下の来県で、あの時のように、どれだけの被災者が励まされ、元気づけられたか……。本当にありがたい話です」
こう話すのは、熊本県芦北町に住む矢野解光さん(80)だ。9月30日、天皇陛下と雅子さまが今年7月に最大震度7を観測した熊本地震の被災地を訪問された。矢野さんは、2020年の熊本豪雨で妻のまさ子さんが犠牲となっており、翌年にオンラインで両陛下のお見舞いを受けた被災者の一人だ。
地震や豪雨という自然災害の猛威に苦しめられてきた熊本県の人々を、さまざまな形で励まされ続けてきた両陛下。今回の熊本ご訪問は日帰りで八代市や氷川町、宇城市を回られたが、時間の許す限り被災者を励まし、慰められていた。
天皇陛下と雅子さまから、過去に直接おことばを賜っている矢野さんは、その“温かさ”についてこう続ける。
「いまも災害住宅で暮らしていますが、7月末の地震では、仏壇が倒れないように掴んでいるのが精一杯。立っていられないほどの強い揺れでしたし、直後に立って動けるような状況ではなかとです。先日も震度3ほどの地震がありましたが、もう怖さしかないとです。
私がお声がけいただいたときもそうでしたが、天皇皇后両陛下は被災した人の気持ちがよくわかられていてですね……国民に寄り添った行動をなさるお姿にも、身に染みるような温かさを感じるのです。やはり両陛下にそこまで心遣いいただく、そういうお気持ちを賜ることが大変うれしいですね。
両陛下はそれが当たり前だと思っていらっしゃるのでしょうが、私たちからすればもう、本当に素晴らしいお二人だとつくづく感じるばかりです」
矢野さんは今年、子供や孫たちのために米作りに励んだという。すでに稲刈りと脱穀を終えた段階だ。
「今年も亡くなった妻に報告を一番にしてきました。私が元気な間は米を作って、今までの御礼をしたいと思っとるとです。皆さんから生かされとることを感謝しながら、生きていきたいと思います」
両陛下との対面が生きる力となっていった矢野さんのように、今回も天皇陛下と雅子さまの温かな優しさが、熊本の人々を包み、そして明日へ向かう原動力を与えたことだろう。
画像ページ >【写真あり】矢野さんをはじめとした令和7年7月豪雨の被災者とオンラインで懇談された両陛下(他4枚)
