10月21日、東京都第二建設事務所は、現在整備中の道路「補助29号線」について、品川区戸越、豊町、西大井の3カ所で歩行者・自転車通行空間を一部開放する、と発表した。
東京都品川区戸越にある「戸越銀座商店街」は、都内でもっとも長い商店街とされる。全長1.3kmに400軒の商店が並び、活気であふれている。ゆったりとした歩道で整備されており、クルマの通行は多くない。この商店街を横切るものに、東急池上線「戸越銀座駅」前の踏切と、6車線の第二京浜(国道1号)があるが、計画ではここに「補助29号線」が加わることになる。
補助29号線は、山手通りから環七通りまで道路幅20mで延長5km、歩道も整備される片側1車線の道路が計画されている。木造住宅密集地域(木密)の解消と、直下型地震などの震災対策のための広域道路になる。
「補助29号線は、もともと戦後まもない区画整理から計画されたものでしたが、石原慎太郎都知事の時代にようやく具体化され、着手にいたったのはいまから14年前の’12年。工事完成予定は’30年とされ、ほんの4年後です」(全国紙記者)
その途中のこの10月28日から、整備された一部が遊歩道として開放されることに。事業の周知が狙いだという。
本誌記者は、開放されるエリアに足を運んでみた。該当する場所に着くと、そこは戸越の八幡神社付近だった。道路が開放されるとはいえ、5キロの道路計画のうち、わずか100mの部分のみ。記者が訪れた日は開放前だったため、コーンが並べられ《暫定歩道として、歩行者・自転車が通行できます》と案内があった。
近所の住民に話を聞いた。
「おそらく、子供の遊び場になってしまうでしょうね」
この遊歩道について、あまり期待や関心は高くないようだ。
「神社の社務所の一部が道路用地として切り取られる工事が始まっています。神社のほうも以前は道路建設に絶対反対と言ってましたが、都や国の行うことですから、最終的には従わざるを得なかったのでしょうね」(前出・近所の住民)
道路建設に必要な土地のうち、用地買収が進んでいるのは半分ほどだという。計画全体の予算規模のうち、90%以上が買収予算に充てられる見込みだという。
計画されている道路に該当する箇所に住居をかまえる人に話を聞いてみると――。
「私がここに引っ越してきた30年前にも、いずれこの道路計画の話が出てくると言われていました。まぁ仕方がないということで、先方の申し出の金額で撤去、移転することに応じました」(商店の女性)
近隣には新築まもない家も。そこに住む主婦はこう語る。
「この話を知ったのは昨年でした。ビックリして国交省に問い合わせたんです。そうしたら『お宅は大丈夫ですよ(道路用地に該当しない)』と言われて安心したんですが、道路ができれば家の目の前で工事が行われるわけで……。困惑していますね」
と、不安そうにつぶやくのだった。
いっぽうで、買収に応じないという住民の声もあった。
「数年前から担当者が来て金額も提示していきましたが、とんでもない。この辺じゃ誰も応じませんよ。生まれた土地をどけと言われても、ハイなんて言えますか? いまから4年後に計画完成なんて到底無理でしょう。50年後にできればよいほうでは」(住民の男性)
戦後まもなく計画された道路。“100年道路”となってしまうのか――。
画像ページ >【写真あり】全長5kmのうち100mだけ…開放された遊歩道(他1枚)
