【動画11】認知症の母の梅干し事件
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トワ・エ・モアが、歌った「ある日突然」が、大ヒットしたのは、昭和44年だった。私は、まだ小学6年だったか、あるいは、中1ぐらいだったか。
ある日突然 二人だまるの
あんなにお喋り していたけれど
いつかそんな 時が来ると
私には わかっていたの
母が、自分宛に送った荷物を開けて梅干しが出てきた時、何故か突然、私の脳裏には、この歌詞の替え歌が、思い浮かんできた!
ある日突然 私はだまるの〜
ボ〜ケた母に 梅干しとどいて
いつかそんな 時が来ると
私には わかっていたの
ところが、目の前にいる母は、「梅干しなんか絶対に注文していない!」と言い張る。慌ててカメラを持ち、その経緯を撮影した。結局、私が、郵便局に電話をして分かった事は、母は、郵便局の窓口でお金を下ろした時に薦められて<訳あり梅干し>2箱を注文し、代金も支払い、自分宛に送った、という事実だった。
その事を母に告げると「へえ〜梅干しねえ。」と、どうでもいいような、ややふて腐れた態度。エピソードごと記憶が、ごっそりと落ちてしまった照れ隠しなのか、母は、手元のスタンドだけをつけた薄暗い部屋の中で大好きな刑事ドラマの放映に話題を変えた。
そんな母を撮影しながら、監督の私は、「ひぇ〜。」と思いつつ、でも心のどこかでは、我が母は、千載一遇の被写体である益々確信し、同時に娘の立場としては、何とか母の脳を見てもらわなきゃ、と焦るのだった・・・
ドキュメンタリー映像作家 関口祐加 最新作 『此岸
彼岸』一覧