第31話 撮影から1年

昨年9月22日の母の79才の誕生日からカメラを回し始めて、丸1年間たった。

あっという間でもあり、長くもあり、というのが、正直な感想だ。

原一男監督は、一人の被写体を深く知り、エグるには、最低でも10年の歳月を費やす覚悟、とおっしゃる。

母が、これから10年間、生きるのかどうかは、分からないが、私には、そこまでの覚悟は、出来そうにない。

一人でカメラを回し、一人で母と向き合うことにやや疲れて来ているのは、否めないからである。

母は、私の新作の被写体とは言え、生活を共有している親子でもある。親と向き合うことで、私は、毎日、親のハシクレとして息子のことを考えない日は、ない。

息子と離れ離れになって、そろそろ10ヶ月、やっぱりツライ。
息子も息子なりに、今の自分の環境を受け入れて、父親と生活してくれていることを考えると、尚更なのである。

12月19日、そんな息子が、日本にやって来る!

映画にとって、山場かどうかは、分からないが、私にとっては、大きな山場だ。
1月末まで滞在予定の息子と認知症の症状が進んだ母との3人生活は、どうなるんだろう。

更には、息子が、オーストラリアに帰りたくない、と言い出すことを危惧して、息子の父親が、シドニーから横浜まで迎えに来る手筈になっている。

いや、これは、やっぱり映画にとっても大きな山場になるんだろうな。

そんなことをツラツラと考えている、撮影開始から1年後の私なのである。

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2010.11.13 (土)更新予定!<動画30:アルツハイマー病の母の誕生日1年後

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