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美しさと実力を兼ね備える唯一無二の歌う女性ドラマー、シシド・カフカが第一線で活躍する女性ゲストと心むき出しのトークを繰り広げる連載『アイノカンジカタ』。3回目はニューヨークに拠点を置き、劇作家・演出家・映画監督として活動する福山桜子さん。女優としてのカフカを見いだし、デビュー作となった映画のメガホンを握った監督その人だ。

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●一目惚れでキャスティング

福山桜子(以下:福山)「去年撮った『愛を歌うより俺に溺れろ!』という映画で、バンドメンバーの女子にモテる女子(湯浅恵
役)を探しているときに、候補者の写真がダーッと並んでいる中に彼女がいて。もう一目惚れだよね。『あっ、この人に会う!』って言って」

 

シシド・カフカ(以下:カフカ):「(笑)。それでライブを見に来て下さって、初めましてのご挨拶をしました」

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福山:「なぜか終わった後、お母さんにご挨拶して(笑)」

 

カフカ:「母が偶然知り合いに会ったのかと思って近づいて行ったら監督さんで。そのときはドラムのみのライブを見ていただいたんですけど、映画ではベーシストの役でしたね」

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――カフカにとって、演技は未体験の領域。撮影に入る前の1カ月間はワークショップで演技について基礎から勉強したという。そこでのカフカを見た福山さんは、映画が公開されるや、他の監督やプロデューサーから出演オファーの声が舞い込むだろうと感じていた。

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福山:「やっぱり自分なりに”哲学”を持ってらっしゃるんですよね。違う分野であっても、ブレがない。そして、”自分を魅せる”ということをよく知っているんだな、と思いました。ステージに生で立っている人なんだなと」

 

●ブレないカフカは知ったかぶりをしない

――この対談は3回目となるが、3人が3人「カフカはブレない」と口を揃える。それはいったいどういうところに感じるのか。

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福山:「うーん。とりあえず自分が思ったことを言ってみるということに対して恐れがない。たくさん、いろいろな人に鍛えられてきたんだなと思いましたね。好きな方向と、苦手であったり、嫌いなもの、許せないものとの境界線がはっきりしていて、それがわりと顔に出るので、それも逆にやりやすかったですよ」

 

カフカ:「すみません、本当に(笑)」

 

福山:「いえいえこちらこそ」

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カフカ:「自分ではブレブレだと思っているのでアレですけど」

 

福山:「でも、ごまかさないよね。わからないことを無理矢理わかったフリをせずわからないままにしておけるっていうのはブレがないってことだと思うよ」

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カフカ:「ああ~……」

 

福山:「納得するまで突き詰めるでしょう。そういうところも、とてもいい。間違いなく女優さんには向いていると思う。ただ、納得しないとずっと疑問を持ったままだからね、良い意味で。なのでこの前のワークショップの時間のような、納得する時間をちゃんと持てるような環境でお仕事したいなと思いますね」

 

――妥協せず演技しきったデビュー作。しかし、カフカは完成した映画をなかなか正視できなかったと振り返る。

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福山:「試写会が終わったあと『見れない見れない』って言ってたよね。自分がスクリーンに出てくると「いやいやいや」とかって(笑)」

 

カフカ:「素直に見れないというか、こうしたかったのに、とかこうしているつもりなのに、っていうところがあって客観的に見られなかったですね。そのときの思い出とか、こうしたらよかった、ああしたらよかったというのがバーっと出てきてしまうので。でも私が出ていないシーンは楽しく見させてもらいましたけど(笑)」

 

DVD『愛を歌うより俺に溺れろ!』が1130日発売

福山桜子 SAKURAKO FUKUYAMA

 

劇作家/演出家/映像監督/立教大学講師/アクティングコーチ

80年代より、小劇場、商業演劇など舞台業界にて劇作家・演出家、演出スタッフとして活動。1990年三谷幸喜氏のもと、フジテレビドラマ『子供、ほしいね』でテレビ脚本デビュー。1995年に渡米し、以来ニューヨークと東京に居を構える。様々な舞台作品を手がけ、、『Feburary』『Non-Fiction』『LINK』ほか、オフ・ブロードウェイ公演等を成功させる。シシド・カフカ女優デビュー作となった角川映画『愛を歌うより俺に溺れろ!』(20128月公開)では脚本と監督を務めた。

公式HP:http://www.sakurarara.net/

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