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連載第40回  話題の異文化セレブ婚で見えてきたもの

ハリウッドのスーパーカップルであるアンジーとブラピの2人の素晴らしさについては、これまでも本連載で記してきましたが、この夏2人は6人の子供たちに囲まれて、フランスで結婚式を挙げました。式では子供たちも主役の座を占め、それは2人にとっても最高に幸せな時間となったのでした。

 

その2カ月半後、世界中の戦地での女性への人道的被害および人権蹂躙の撲滅を国際的に訴えてきたアンジェリーナ・ジョリーは、イギリスのエリザベス女王陛下から名誉デイムの叙勲を受けました。デイムとは男性のナイトにあたる爵位です。
その際には、ブラッド・ピットと6人の子供たちも女王陛下にお目にかかることができました。10月10日、バッキンガム宮殿でのことです。

 

他方、9月23日、やはり本連載で環境問題への長年の貢献について言及してきたハリウッドのスーパースター、レオナルド・ディカプリオが、国連気候サミットで気象変動問題を担当する国連平和大使として各国代表団を前に演説しました。
環境問題活動家としてのディカプリオの一語一語は非常に説得力があり、その貢献の多くは彼の言葉と情熱によってなされたものだと国際弁護士ユアサは強く感じました。

 

アンジーの栄誉もディカプリオの演説も、多数のハリウッドセレブたちの地球規模での国際的貢献のほんの一端ではありますが、彼らの活躍から、セレブたちの目はアメリカの枠を越え、世界に向けられているとも分析できます。

 

セレブたちのこうしたエネルギーが出てくる背景には、アメリカ国内での〝西海岸VS.東海岸〟を含む異文化の交流があると、国際弁護士ユアサは断言します。
ちなみに、アメリカでは「セレブへの道は2つのルートがある」と言われています。
一つは、東海岸でビジネスなどの成功を通して蓄財してセレブになるルート。もう一つは、西海岸の、特にハリウッドのエンタテインメント界でスターになるルートです。

 

一般的に、セレブというコンセプトは〝公共への奉仕〟にまい進する場合には用いられないのが普通です。したがって、アンジーやディカプリオの貢献ぶりは、スーパーセレブの活動の一部といった表現ではなく、彼らのライフワークというふうにしばしば表現されています。

 

ところで、セレブと言うと日本でもパリス・ヒルトン(彼女は東・西海岸問わず、全米規模で幅広く活動している)がすぐに思いつく理由は、セレブと言う言葉がアメリカのメディアで勢いを得たのが、21世紀になるかならないかの頃だったからです。
ですから、昔の銀幕の大スター、ビビアン・リーやエルヴィス・プレスリーよりも、比較的若い世代のアメリカンセレブの名を思い浮かべるのは正解なのです。ちなみにパリスは2001年に20歳を迎えています。

 

さらに、セレブという言葉が一時的な盛り上がりでなく、ここ最近アメリカのカルチャーの中でさらに強い立場を占めてきている理由には、東海岸や西海岸などの複数のカルチャーを包含する便利な言葉であることも挙げられるでしょう。

 

ところで、ウォール街がアドバイスするセレブは、ハリウッドのスーパースターではなく、東海岸のお金持ちです。しかもロックフェラー家などの超大富豪セレブに限られます。
ハリウッドスターは世界的な大富豪ですが、そこまでのレベルには到達していません。
東海岸のセレブの中軸をなすのは熟男・熟女たちで、彼らは大人の街ニューヨークの社交界の中心メンバーでもあります。

 

以前、ユアサの長年の友人でニューヨーク社交界の中心にいる夫婦の美しいお嬢さん2人と、セントラルパーク近くのおしゃれなレストランでブランチを楽しんだときのこと。
予約をしていませんでしたが、混み合った店内でも、ユアサがエスコートする2人を見るなり、スタッフも客もサーッと左右に道を開け、すんなりとベストの席へ通されました。「これがニューヨークセレブの美のインパクトだ!」とユアサは仰天したものです。

 

さて、ごく最近、異なる文化背景を持つセレブカップルが世界的大ニュースとなりました。
ハリウッドスターのジョージ・クルーニーと、結婚相手のアマル・アラムディンです(結婚後は旧姓ではなくアマル・クルーニーと名乗っています)。アマルはロンドンで活躍する国際人権問題専門の弁護士です。

 

国際人権問題の分野で大きな貢献をし続ける〝ハリウッドの良心〟ジョージを西海岸カルチャーが生んだスーパーセレブとすれば、アマル弁護士はイギリスに暮らし、国際人権問題という堅固な基盤をジョージとシェアする法のプロフェッショナルです。イギリスとアメリカは極めて近いものの、西海岸メディアから見れば異文化セレブ婚なのです。

 

どこの国でも、時間の制約が大きい職種であればあるほど、恋愛へのハードルが高くなりがちです。ところが、ジョージとアマル弁護士の場合、ライフワークとしての人権や人道活動が、非常に深いところでスーパーセレブカップルを生んだということです。アンジーとブラピの場合もしかりです。

 

一方、独身のディカプリオは、まだ自己の環境問題などのライフワークまでシェアする恋人に出会っていないのかもしれません。あるいは、とっくに何度も受賞していておかしくないアカデミー主演男優賞を逃していることを考えると、今は「結婚以外にやりたいこと」、の思いが無意識のうちに強いのかもしれません。

 

長いアメリカでの生活で、ユアサも身近に数多くのセレブたちの結婚を見ていますが、ライフスタイルのレベルまでシェアする〝共通のこと〟が大きな鍵となっているようで、アンジーとブラピのように職業が近い必要は必ずしもないようです。ジョージとアマル弁護士のように異なるカルチャーの職種でも、関係なく幸せになれるわけです。

 

まとめれば、結婚において「2人のシェアするものは何か?」が根本的に重要なポイントとなります。もしもそれが、今回の2組の新婚夫婦のシェアするように、国際的ライフワークならば、夫婦としての人生のみならず、個人それぞれの人生の広がりも大きく、理想的と言えるでしょう。

 

さらに、ここで指摘したいのですが、アンジーやジョージの例に限らず、自分の職種以外でライフワークを持つのが、アメリカでは当たり前ということです。
この点は、日本の婚活パーティの質問条項にはないかもしれません。でも、アメリカ社会では、自分の職種以外の社会貢献をライフワークに選んだ気持ちは心から尊ばれるのはもちろん、婚活の段階でもお互いに十分に話し合われるテーマなのです。

 

そこに例えば、「西海岸VS.東海岸」あるいは「アメリカVS.イギリス」のような異文化カルチャーの要素が大きく入ってくれば、それはそれで、結婚生活や家族とのつながり、親族や友人たちとの語らいも自ずと面白くなるわけです。

 

最後に、ディカプリオにもう一度話を戻すと、自己のライフワークの環境問題においていつも深い努力をしていることを知っているので、アカデミー賞や環境保護問題を含む様々な目標を早く成し遂げられるとよいのだが、とウォール街も思ったりしています。
為せば成る、そして、すべての答えはそれぞれの心の中に存在する!
それがウォール街の、毎日を朗らかにする個人主義への思いであると、国際弁護士ユアサは明言します。

 

(了)

 

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