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みなさんは“ガラスの天井”という言葉を聞いたことはありますか? ガラスの天井とは「女性がキャリアを重ねてある程度までは昇進できても、会社の経営を担う上級管理職まで上りつめることは難しい」という意味で使われている言葉です。わかりやすく言えば、能力はあるのに女性であるという理由で昇進できないということです。

 

もともとは86年にアメリカの主要日刊紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』で使われたのが始まりです。当初は女性のみならず、障害者、老人、性的マイノリティーなど、主流ではない労働者の昇進を阻む見えない障壁の比喩として使われていました。しかし最近では、女性の社会的活躍への障害という意味で使われています。そして最近、この言葉がメディアの注目を集めています。直接のきっかけを作ったのは今年11月の米大統領選で民主党候補として公式指名されているヒラリー・クリントン前国務長官、そして民進党の蓮舫さんが挙げられるのではないでしょうか。

 

民進党次期代表選に出馬表明した蓮舫さんは、会見で「私が目指すのは新世代の民進党。ガラスの天井を打ち破り、信頼を取り戻してわくわくする政治を作る。代表となり党を引っ張りたい」と述べています。また他の候補との違いについても「最大の違いは女性だということ。ガラスの天井に向き合う人に元気を与えたい」と発言するなど、ガラスの天井という言葉を多用しています。政治資金の公私混同疑惑などで舛添要一前東京都知事が辞任したことで初の女性都知事として期待されていたときも、「私のガラスの天井は国政にある」と発言。都知事ではなく首相を目指すことを暗示し、都知事選への出馬を見送りました。

 

ガラスの天井問題は前述したヒラリーさんが演説で使っていることからもわかるように、日本だけの問題ではありません。全世界が解決すべき課題なのですが、日本の状況は欧米のそれに比べて特に深刻だと言わざるを得ません。たとえば昨年3月8日の国際女性デーに合わせて発表されたイギリスの経済週刊誌『エコノミスト』で、女性の社会的地位や男女間での機会均等具合を数値化した国家別「ガラスの天井指数」の結果が発表されました。そこで日本はOECD加盟国28カ国中、最下位の韓国に続く27位でした。

 

このガラスの天井指数は、大学の男女比率からみた各国の高等教育格差、女性の経済活動への参加率、男女間の賃金格差、経営上層部に従事している女性の比率、男女の育児休職比率などへの評価をもとに算出されています。上位は1位がフィンランド、2位がノルウェー、3位がスウェーデンと、北欧勢が占めました。というのもヨーロッパではガラスの天井を打ち破るため、政府が積極的に関与してきた背景があります。たとえばドイツ、ノルウェー、オランダ、スペイン、フランスなどでは、経営役員における女性比率を引き上げるため「クオータ制(割当制)」を導入。経営上層部へ女性の進出をしやすくしました。

 

クオータ制導入初期は、企業側の激しい反発がありました。しかし制度が施行された結果、企業業績が以前よりも大きく改善されたことがわかりました。つまり経営陣に女性がいる会社のほうが、女性経営陣が一人もいない会社よりも売り上げの伸び率が高かったのです。それが意味するのは、企業の経営判断において女性の意見を積極的に反映させたほうが業績は良くなるということです。日本でも、安倍首相が女性の社会進出推進をアベノミクスの目玉の一つにしています。官民、そして与野党が力を合わせてガラスの天井を打ち破る取り組みを加速させる必要があると思います。

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