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✔ テレビでJUJUを見た…
税理士になる夢が消えて、次の目標を探しはじめた私だったが、一生を懸けるに足るものなど、そう簡単に見つかるはずもなかった。
その間も日々大量の仕事をこなさなければならない。夜遅くまで数字とにらめっこして、家に帰ってベッドに倒れ込むだけの毎日……。こうして、現状に不満を持ちながらも、現状維持のまま、時間だけがいたずらに過ぎていった。
そんなある日、テレビをつけたら歌手のJUJUが出ていた。
私はJUJUが好きだ。同じ広島県出身であることに加えて、個性的な歌声、切ない歌詞、抜群のスタイル……。好きな理由はいくつもあるのだが、中でも筆頭に挙げられるのは、彼女の歌唱の節々から滲み出る人間性だ。
今でこそ超売れっ子だが、そこに至るまでの道のりには長い下積みがあった。彼女の歌声には、きっとたくさんの挫折、失敗、失恋、そして苦悩の日々がこめられているはずだ。
それだけではない。そうした不遇の時を乗り越え、現在のポジションを勝ち取ったからこその力強さもある。だから私は、彼女の歌声に心打たれ、「明日もがんばろう」という前向きな気持ちになれるのだ。
その日のテレビでJUJUは、スタンダードナンバーの「ミスティ」を英語で歌っていた。
そのきキレイな発音を耳にしたとき、私の疲弊しきった心の中の霧が一気に晴れた。
「なんてかっこいいんだろう! 私もあんなふうになりたい」
この瞬間、私の次の目標が決まった。
✔外国人の通訳で大失敗
ここで告白するが、私は英語について、ずっとコンプレックスを抱えていた。
経歴を見ていただければおわかりの通り、私は1年間、外国人マネージャーのアシスタントを務めていた。日本語が話せない・読めない彼のために、会議での通訳やあらゆるドキュメントの英訳を行うのが主な仕事である。
これだけ聞けば、「なあ~んだ。最初っから英語が得意だったんだ」と思われるかもしれない。
しかし、その問いには、自信を持って「ノー」と答えられる。
今でこそ笑い話だが、実はこの時の私たちは“日本語のできない外国人マネージャー”と“英語のできない日本人アシスタント”という、あり得ない組合せだったのだ。
でも当時は全然笑えなかった。ある日の会議では、私の英語が通じず、同席している日本人マネージャーが怒ってその場を去ったこともあった。そんな私に外国人マネージャーは辟易し、私たちの間の空気はときに険悪なものになった。
それでも毎日大量のドキュメントを英訳し、日本語でも理解できないような会議の内容をボディランゲージも交えて訳さねばならないのだから、1年もあればそれなりにできるようになるはずだ。私もそう思っていた。
でも現実は違った。
1年経っても、私の英語は書いても喋ってもぎこちないままだったのだ。
結局、私をアシスタントにしておくことは彼のリスクになるということで、私はアシスタントを“クビ”になったのである。
✔リベンジを誓う
このことがトラウマになって、自分には英語力がない、英語は向いてないのかもしれない、とずっと思っていた。
しかし、その一方で、「いつか、ちゃんと英語を勉強しなきゃな」という気持ちも、自分の中でくすぶっていた。英語ができれば、その分野においては、周りのプロたちを凌ぐことができると思ったからだ。
「私が彼らに勝てるものは何なのか?」――根が負けず嫌いの私は、税理士になる夢をあきらめたときから、このことをずっと考えていた。
今思えば、なんてちっぽけな発想だろう。でも、そのときの私は、彼らに勝てる道を必死に模索していたのだ。
テレビでJUJUを見たのは、ちょうどそんなときである。
心の中を漠然と漂っていた「ちゃんと英語を勉強したい!」「劣等感に苛まれた日々を終わりにしたい!」という思いが、彼女が英語で話すのを見た瞬間に、はっきりと形になった。アシスタントだった頃の失敗経験を糧にして、英語に対してリベンジを誓ったのだ。
――少し長くなってしまったが、ここまでの話が、私が英語の勉強を始めることになったきっかけである。
✔現状維持型の人こそチャンス!
連載のタイトルが「人生が劇的に楽しくなる英語勉強法」なのだから、英語の勉強法の話から始めればいいものの、なぜこんなに長々と私自身の経験から話し始めたのか。
それは、「現状に不満を持っている」「現状がうまくいっていない」ということが、英語の勉強をする上での大きな原動力になるからだ。
現状に不満を持ちながらも特に目標もなく、それでも毎日それなりに忙しいので、充実した日々を送っている気になっている。あるいは、なんとなく日々を漠然と過ごしている、そんな“現状維持型人間”こそ、英語の勉強を始めるチャンスだ。
現状維持型の人だけではない。目標に向かって頑張り続けているが一向に結果が出ず自信を失っている人も、英語の勉強を始めるチャンス到来!である。
私も税理士試験に合格していたら、周囲に対する激しい“劣等感”に苛まれていなければ、英語の勉強などまちがいなくしなかっただろう。そのことだけははっきり言える。
だから現在、かつての私と同じような悩みを抱えている人は、今すぐ英語の勉強を始めてみてはどうだろう。
英語ができるようになれば、あなたの現状はわかりやすい形で変わる。あなたの人生は劇的に楽しくなるのだ。