わずか3か月間の勉強、たった8500円の投資で、休日を犠牲にすることなくTOEIC850点が取れる!失敗続きの経験から著者が導き出した、超効率的な勉強法を一挙公開!!
ここまでの話で、TOEIC850点をとることの意義についてお分かりいただけたかと思う。では、いよいよ具体的な勉強法についての話に入っていこう。
●TOEICの問題構成
この連載をお読みの方は、TOIECについての知識はある程度お持ちだろうから、くわしく触れることはしない。試験日などの試験概要については、TOEICのホームページなどでご確認いただくとして、まずは、勉強法に密接に関係してくる問題構成について少し触れておきたい。
TOIECの問題は、Part1からPart7までの7部構成になっていて、Part1~Part4のリスニング問題、Part5~Part7のリーディング問題の大きく2つに分けられる。
各パートは、以下のような構成になる。
◆リスニング問題(全100問) Part1~Part4
Part1 写真描写問題(10問):写真を最も正しく描写している短い説明文を4択で選ぶ。
Part2 応答問題(30問):短い質問文に対して、最も正しい回答をしている応答を3択で選ぶ。
Part3 会話問題(30問):2人の人物による長い会話文を聞いて、それに関する設問3題を解く(選択肢は1題につき4つ)。
Part4 説明文問題(30問):1人の人物による長い説明文(アナウンス、ナレーションなど)を聞いて、それに関する設問3題を解く(選択肢は1題につき4つ)。
◆リーディング問題(全100問) Part5~Part7
Part5 短文穴埋め問題(40問):文法、語彙問題で、不完全な短い文章の穴を埋める(4択)。
Part6 長文穴埋め問題(12問):不完全な長めの文章1題に対し3つの穴を埋める(4択)。
Part7 読解問題(48問):記事、広告、ビジネスメールなどいろいろな文書に対し設問3~5題を解く(4択)。
以上、合計990点満点のうち、850点をとろうというのが、本連載のテーマである。
もちろん、満点をとるに越したことはない。「満点を狙う勉強をして、はじめて850点がとれるのではないか」という意見もあるだろう。
しかし、本連載でお伝えするのは、あくまで最初から850点を狙う勉強法だ。850点に照準を合わせ、そこから逆算して、何をすべきか考えていくやり方である。ちょっとくどいけれど、そのことを強調しておきたい。
●完璧主義ゆえの失敗
実は、これまでの私だったら、間違いなく最初から満点を狙おうとしていた。
私は学生時代、勉強ができていたこともあって、試験は満点を狙うものと思っていた。もちろん、満点をとるのはそう簡単ではないが、目標としては、常にどの問題もとりこぼさないようにしなければと考えていたのである。
しかし、TOEICにチャレンジしようと思った段階で、その考えは丸っきり捨てた。税理士試験の時に痛い目に遭っていたからだ。
税理士試験は合格率が各科目10~15%前後の難関国家試験といえる。だが、出題傾向や税理士試験特有の採点基準はある。傾向があれば対策もありで、それらを知り、そこから逆算した勉強さえすれば、実はまったく歯がたたないというわけではない。
税理士試験の場合、出題傾向を押さえることはもちろん、結果を出すのに必要なのは“皆が正解するような基本的な問題を確実に解けるようにする勉強法”だ。皆が解けないような難問は正解しても配点が来ない可能性があるからだ。
だが私は、すべての範囲を緩急つけずしらみつぶしに勉強していた。「満点志向」のためである。そして、試験では難問にも時間を使ってしまった結果、基本的な問題の回答精度が下がってしまったのだろう。結果はいつも不合格。こんな勉強の仕方は、非効率以外の何物でもない。
私がとるべきだったのは、「最短距離で結果を出すための方法論」だったのだ。その方法論とは、詳しくは後の連載で触れていくことにするが、簡単にいうと、その試験で結果を出すために必要な事項だけを戦略的に勉強することである。
たいていの場合、完璧主義は“非効率”と同義である。私の挫折は、それに気付かなかったがゆえの結果だ。しかし、「一刻も早く税理士試験に受かりたい」「周りの優秀なプロたちと早く肩を並べたい」という思いに凝り固まっていた当時の私に、自分のやり方を批判的に分析するだけの心の余裕などなかった。だから、何度受けても落ち、ますます焦燥にかられ、挫折感を味わう。その繰り返しだったのだ。
そこで今回は税理士試験の時と同じ轍を踏まないよう、勉強を始める前に、TOEICで最短距離で結果を出すために必要な勉強が何なのか、どういう勉強をすべきかを分析した。
その結果、導きだしたのが、これから述べていく“15のルール”である。
≪Rule 1≫ TOEIC850点取るのに“捨てるべき勉強法”のすべて
書店に行って本や雑誌を眺めていると、世の中にはいろいろな英語の勉強法があることが分かる。
しかし、最初に言っておこう。
★短期間でTOEIC850点取得する
実は、この目的を達成する上で必要な勉強は限られているのだ。
逆に言えば、目的達成のために“捨てるべき勉強法”が世の中にはたくさんあるということだ。もしあなたが、ここまでの連載をお読みになり、「TOEIC850点を短期間で効率的に取得したい!」と少しでも心を動かしてくださったなら、あなたが最短距離で目的地にたどり着けるよう、まずは“捨てるべき勉強法”のすべてを示したい。
✔シャドーイングは非効率
シャドーイングとは、英語の音声を即座に口頭でリピートする勉強法のことをいう。その効果を謳う記述は、参考書やブログなどにたくさん出てきて、専用の本まで出ている。だから英語力アップに一役買うであろうことは否定しない。
しかし、シャドーイングはTOEICの問題構成のどのパートにも直接的な効果を発揮するわけではなく、短期間にTOEIC850点取得を目指しているあなたが今取り組むべき勉強法では絶対にない!忙しいビジネスパーソンならなおさらだ。
私も試してはみたものの、すぐにやめた。やめた、というよりギブアップした、という方が正しいかもしれない。なぜなら、シャドーイングには、効率的な勉強を邪魔する要素(=つまり非効率な要素)があまりに多く含まれているからだ。
その要素とは、以下のようなものだ。
<シャドーイングが非効率な理由>
・声を出せる環境と時間の確保が必要。=忙しいビジネスパーソンには難しい。
・よっぽど勤勉じゃない限り“メンドクサイ”。= “メンドクサイ”ことは長続きしにくい。
・シャドーイングを終えた後はけっこうグッタリ。= 本当に必要な勉強をする時間と体力と意欲を消耗。
・意味を理解しないまま繰り返しても意味がない。= 短期的な英語力アップを目指す場合は回り道。
従って、シャドーイングはお預けにしよう。
✔ディクテーションは非効率。
ディクテーションとは、英語の音声を聞いて書き取る勉強法のことをいう。これを勧める本や雑誌の記述も多い。しかしディクテーションはシャドーイング以上に負荷のかかる作業で、毎日続けるには十分な時間と固い意志を必要とする。
しかも、シャドーイング同様、TOEICの問題構成のどのパートにも直接的な効果を発揮するわけではない。
私は試すまでもなく、とうてい長続きしないだろうと思って手を出さなかった。
ディクテーションが長続きしない理由を具体的に挙げてみよう。
<ディクテーションが非効率で長続きしない理由>
・文字を書ける環境と時間の確保が必要。=忙しいビジネスパーソンには難しい。
・よっぽど勤勉じゃない限り“超メンドクサイ”。= “超メンドクサイ”ことは長続きしない。
・ディクテーションを終えた後は確実にグッタリ。= 本当に必要な勉強をする時間と体力と意欲を消耗。
・文の構造の理解なしに大量に書きとっても回り道なだけ。= 構文の理解など基礎固めをするのが早道。
・わからない単語が出てくる都度時間がかかり非効率= 単語は単語集でまとめて覚えるのが最も効率的。
・一言一句逃さずの聞き取る能力はTOEIC850点取得に必要ない。= 聞こえてくる音声の概要とポイントを掴めればTOEICは解ける。
従って、ディクテーションもお預けにしよう。
ちなみに、私はこの先十分な時間ができたとしても、一生ディクテーションには手を出さないだろう。そんな気力体力ともに消耗する勉強法よりも、本連載で挙げるような、もっと効率的で効果的なやり方を知っているからだ。
(つづく)