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ついに新刊『日付変更線』上下巻が集英社より発売になりました。料理の話ばかりしてまいりましたが、子供を学校に送り届け、家事を急いで片付けた後、毎日コツコツ小説を書き続けてまいりました。

この作品、10年ほど前から構想を温めておりましたが、精力を注いで執筆にあたったのは昨年。離婚直後のもっとも苦しかった時期にいちばん筆を動かしていたことになります。ですから、男女のそういう切ない話も満載の1冊となっております。

しかしそれ以上に歴史小説の要素が強いのが特徴です。実在した日系人だけの米軍442連隊が物語の1つのコアとなっております。70年前と現代が交差します。東京とホノルルの間には19時間の時差がありますね。日付変更線を越えると時計を1日戻さないとならないんです。

そこに着眼し、戻すことの出来ない時間、戻すことの出来ない愛の関係、戻すことの出来ない希望……この70年間の過酷な人生を生きた人々がつむぐ壮大な一日を描ききる作品を目指しました。

愛とは何か? 裏切りとは何か? 憎しみとは何か? 平和とは何か? 戦争とは? 生きることの意味を求めて彷徨する日米仏三世代の登場人物たちが織り成すタペストリーをご堪能いただければ幸いです。

作家というものは書くことでまた苦しみを乗り越えることが出来る不思議な生き物でもあるのです。

ぼくは苦しかった昨年、執筆を通して自分を維持することが出来たのです。この小説には愛が詰まっております。

さて、今日は辻家で大ヒットのクルミ鶏蕎麦をご紹介します。私はクルミ蕎麦が大好物なんです。話題の密封袋を使った低温真空料理に挑戦してみましょう。

材料4人分:蕎麦400g、鶏の胸肉400g、クルミ100g、白ごま大さじ2、砂糖大さじ2、みそ大さじ2、水100ml、めんつゆ100ml、生クリーム少々。ねぎ、しそ少々。

レシピ:塩・こしょうした鶏胸肉にお寿司のガリを張り付けます。それを袋の中にいれチャックをしめますが、端っこにストローをさし、中の空気を吸い出せば真空になるそうです。怠慢なぼくはストローなど使わず、端っこに少し隙間をこしらえ口で吸って空気を出します。空気が残っているとあとで鍋の中で浮いてしまいます。

大なべに水をいれ沸騰させ、火を止めたら3分後、鶏を沈めます。お湯が冷めるまで放置します。2時間くらい低温で火を通します。ほったらかしで大丈夫ですよ。その間に買ってきたクルミを100gばかしフライパンで炒ります。香りが出ますよ。それを紙袋にいれ、叩き潰してください。ある程度小さくなったら、すり鉢にいれ、すりこぎでする。白ごま大さじ2をいれ、細粒になるまですりながら突きます(面倒な人はフードプロセッサで)。そこに砂糖大さじ2、みそ大さじ2をいれ、水100ml、めんつゆ100ml程度を交互に少しずついれてなじませながら伸ばしていきます。最後に生クリームを垂らします。

鶏肉を袋から取り出し、まな板の上で中に火が通っているか目視して確認ください。完全に火が入っていることが重要です(自信がない場合はレンジで)。

蕎麦の上に薄切りにした鶏肉を並べ、ごまダレを掛け、みじん切りのねぎ、しそをまぶして完成です。これ、まじ絶品ですよ。レシピはコチラでご確認を!

ボナペティ。

 

エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!

辻仁成/つじ ひとなり

作家。東京都生まれ。’89年「ピアニシモ」ですばる文学賞、’97年「海峡の光」で芥川賞、’99年「白仏」で、仏フェミナ賞・外国小説賞を受賞。映画監督、演出家としても活躍。現在はシングルファザー、パリで息子と2人暮らし。

近著に『日付変更線』(集英社刊)がある。