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実はうちの息子、便秘気味なんです。子供は野菜を食べませんから、どうしても便秘になるみたいです。うちの子は牛乳も飲まないのでなおさらです。だから、トイレの時間がやたらと長いんですね。下手すると1時間なんて当たり前。いないなと思ったらトイレを捜すと見つかります(笑)。

小学校卒業前のことですが、朝、学校に行くというときに、不意にもよおしたのです。「トイレに行ってもいい?」と訊いてきたので、「もちろん」と言いました。「でも、門が閉まっちゃうよ」「でも、学校のトイレには行きたくないんだろ?」

実はこっちの小学校のトイレは便座が無いんです。どうやって子供たちは用を足しているのか分からないのですけど、どこも便座の無いむき出しの便器があるだけ。さすがにそれじゃ、出来ません。彼は特に神経質ですから、死んでも我慢をすることになる。それが分かるから、遅刻してもいいのでトイレを済ませてから行けばいい、と言いました。けれど、逆に焦って出来やしませんね。結局、お腹がぐずってる状態で学校に行くことになってしまいました。前にも同じようなことあって、彼は我慢を重ねた挙げ句、お腹が痛いと先生に訴え、学校から電話がかかってきて、迎えに行ったことがあったのです。今回も同じパターンだな、と予想しました。その日、パリ市内で打ち合わせがあったのですが、すぐにキャンセルし、自宅で待機することにしたのです。案の定、昼に学校から電話がかかってきました。

「ムッシュー、息子さんがとってもお腹が痛いと言っています。迎えに来られますか?」「ええ、そのつもりでした。すぐに行きます」と私は言うなり家を飛び出したのです。受付の壁際のソファに息子が座っていました。私を見つけるなり、情けない安堵の笑みをぶつけてきました。私は息子の頭をさすり、「パパは分かっていたよ。君、お腹が痛くなるってね」「どうして?」「だって、パパの子供じゃん。分かるさ。パパはすぐに駆けつけたでしょ? 救助隊みたいにさ」

息子は微笑みました。家に帰るなり、トイレに飛び込みました。そして30分後、お腹すいた、と言って出てきたのです。私は思わず声を出して笑ってしまいました。

 

さて、今日は便秘気味の子供も大好き、「欧風野菜の揚げ浸し」を作ってみたいと思います。

材料:パプリカ1個、いんげんひとつかみ、ブロッコリー1個、オクラ8本、なすび2本、オリーブオイル500ml、だし汁200ml、醤油大さじ4、みりん大さじ2、砂糖大さじ1、白ワイン大さじ1(日本酒でもOKです。お好みで)

レシピ:だし汁と調味料を合わせてひと煮立ちさせ、漬け汁を作っておく。好みのめんつゆを使っても良い。オリーブオイルを熱し、野菜を揚げていく。パプリカ、いんげん、ブロッコリー、オクラは1~2分ずつ。なすびは油を吸うので最後に。なすびの表面に焼き色がつくくらいまでよく揚げる。揚げた野菜をキッチンペーパーの上に出し、少し油を切ったら、熱いうちに漬け汁に入れる。よく味が染みるまでしばらく漬けるのがコツ。冷蔵庫に入れて冷やしても美味しい。

お皿に並べ、オリーブオイルと岩塩でいただく。詳しいレシピをこちらにアップしますのでご参照ください。

冷蔵庫で冷やして、そうめんや冷やしうどんの上に並べて彩り鮮やかな野菜冷麺は最高ですぞ!

 

ボナペティ。

 

エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!

辻仁成/つじ ひとなり

作家。東京都生まれ。’89年「ピアニシモ」ですばる文学賞、’97年「海峡の光」で芥川賞、’99年「白仏」で、仏フェミナ賞・外国小説賞を受賞。映画監督、演出家としても活躍。現在はシングルファザー、パリで息子と2人暮らし。

近著に『日付変更線』(集英社刊)がある。

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