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最近、子供と会話が少なくて、とよく主婦の方から相談を持ちかけられます。そういう方には、一緒に料理をしてみたら? と提案しています。とくに、今日ご紹介する「パイ包み」なんかはうってつけかと。うちの子ももうすぐ中2ですから、そりゃ、返事しなくなりました。

「おかえり。どうだった学校? 楽しかったぁ?」といろいろ聞くんですが、リュックをおろしながら、「ああ」と答えて終わり(涙)。「ああ?」、それが親に対する言葉か、と私の父であれば、平手打ちの1つや2つくらわされていたところです。

すぐにパソコンを開いてゲームやっています。何か違うぞ、と思いますが、思春期の自分のことを思い出せば、心当たりありますね。でも、こんなに一生懸命子育て頑張ってるんだから、もう少し手ごたえが欲しいな、と思う時もあります。子供だって、年ごろだし甘えているところもあるのじゃないでしょうか?

そういうときは一緒にキッチンに立てばいいんです。素晴らしい思い出が出来ますよ。「なぁ、手伝ってくれる? 今日の料理はけっこう大変なんだよ!」と頼んでみてください。ベシャメルソース作りは意外に面白いですよ。パイ生地を麺棒で伸ばすのなんか、まさに図工です。生地に包丁で切れ目を入れ、魚をぐるぐると巻くわけですが、「なんか、ミイラみたいじゃね?」と話も弾むはず。そして、尻尾と頭を作るところは粘土細工になりますからね、笑いも起こります。

特別な会話なんかなくても共同作業を通して親子の絆は深まるはず。オーブンでこんがりと焼きあがったら2人でガッツポーズ。同じ目標を持って挑むわけですから、盛り上がらないわけがありません。料理は愛情表現だけじゃなく、会話の手段にもなるわけです。

さて、実際に鱒のパイ包みを作ってみましょう(鱒じゃなくてもサーモンの切り身でも大丈夫ですよ)材料:鱒400g、パイ生地(冷凍パイシート)、ねぎ、ほうれん草、エメンタールチーズ(とろけるチーズでもOK)、卵の黄身。

味噌ベシャメルソースの材料:牛乳160ml、小麦粉30g、バター30g、味噌30g、塩・こしょう少々。醤油小さじ1。

まず、味噌ベシャメルソースを作ります。小ぶりのフライパンに中火でバターを溶かし、小麦粉を加え、木べらで捏ねるように、少しずつ牛乳を加えながら。辛抱強く練って混ぜ合わせていきます。塩・こしょう少々、お醤油小さじ1で味を調え、最後に味噌30gを投入し、これもしっかり混ぜ合わせたらソースの完成です。

千切りのねぎ3分の1、ほうれん草、同分量を炒めておきます(冷ましておいてください。パイ生地が溶けるので)。解凍したパイ生地を麺棒で魚が入るくらいまでのサイズに引き伸ばします。真ん中にねぎ、ほうれん草を敷き、その上に鱒を置きます。味噌ベシャメルソースで鱒が隠れるくらい覆い、最後にエメンタールチーズをふります。下のパイ生地に魚の縁に向けて外側から斜めに包丁を入れ、切り取り線を作ります。切り取り線ごとにパイ生地を剥がし、着物を羽織る感じで交互に重ねていきます(この辺、写真を参考に。詳しくはこちらでご確認ください)。そして、両端を閉じ、粘土細工するように、頭と尻尾を自由に創作します。

照りを出すために卵の黄身(少し水で伸ばしたもの)をはけで万遍なく表面に塗ります。あらかじめ200度で温めていたオーブンに入れ、30分前後でサクサクでジューシーな鱒の和風パイ包みの完成です。気が付けば、会話も笑顔も弾んでいること間違いありません

幸せな家族に、ボナペティ!

エッセイで紹介されたレシピは、
辻仁成 子連れロッカー「希望回復大作戦」ムスコ飯<レシピ>で公開中!

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